大規模な災害が発生すると、まず行われるのが「炊き出し」
避難所では、被災した人たちに料理や公的機関が備蓄している食料・飲料を配ることが行われます。
この炊き出しは、避難所に集まった被災者に飲食が無償で提供さることを指します。
今回の熊本地震や過去の大地震(阪神淡路・東北震災)でもそうですが、
地震に限らず、あらゆる災害で食事が無償で振る舞われます。
その準備にかかる費用(食品の購入費用や燃料費)は当然タダ(無料)ではありません。
国の予算あるいは、募金でまかなわれているのです。
ボランティアが主催する炊き出しは、寄付金(募金)で作られることが多いので予算は法律では決められていません。
※もちろん各団体で決められていると思われますが・・・。
しかし、市区町村が主催する炊き出しは、法律で予算が決められているのです。
1人当たり370円以内に収めるように定められているのはご存知でしょうか?
災害救助法「炊き出しの費用は1人当たり1110円以内」
災害救助法の第三条には、このように書かれています。
炊き出しその他による食品の給与を実施するため支出できる費用は、主食、副食及び燃料等の経費として一人一日当たり千百十円以内とすること
引用:災害救助法 – 内閣府
http://www.bousai.go.jp/taisaku/kyuujo/kyuujo.html
つまり、1日3食で計算すると、1食当たりの予算は370円ほどです。
ちなみに小学校の給食でさえ1食当たり800円~900円ということですから、その1/3程度といえます。
100人規模の避難所で「1食37,000円」って少ない?
つまり100人の被災者が集まった避難所の場合、使える1食当たりの予算は、
100人×1110円÷3食=37,000円までということです。
1,000人規模の避難所になると、37万円以内に収める必要があります。
※これは「災害救助法」で定められた金額ですので、市区町村や都道府県が主催する炊き出しが該当し、ボランティアや企業が主催する物とは違います。
ちょっと少ない気もしますね。
人より食欲旺盛の人には、空腹で耐え切れない可能性も考えられます。
しかし、被災地で配られる食料は”炊き出しだけ”ではありませんのでご安心ください。
企業や寄付により全国各地から食料が送られ、避難している人には配られていますのでお腹を空かせている人が多いということではありません。
日本全国各地の企業が自社製品を無償で提供
日本では大規模な震災が起こると、各飲食メーカーが自社の製品を被災地に送ることも珍しくなくなりました。
- サントリーホールディングス
- コカ・コーラウエスト
- カゴメ
- 味の素グループ
- 株式会社ダスキン
- ハウス食品
参考:農林水産省/企業等からの食料等の無償提供申し出
http://www.maff.go.jp/j/kanbo/joho/saigai/s_musyou.html
このような大企業だけでなく、中小メーカーも無償提供を行っています。
また、ボランティア団体が食べ物をくばることもあります。
このような製品が無償で配られますので、ひもじい思いをする人は少ないと言えます。
炊き出しは避難しないともらえない?受けられる人は?
災害が起きたからといって、必ずしもすべての人が避難所に集まるということはありません。
今回の熊本地震でも、地震直後は車中泊をしたり、自宅に戻った人も多いです。
このような避難所に集まらない方たちは、炊き出しをもらうことができるのでしょうか?
想定外の人が炊き出しをもらいに行くと、足りなくなりトラブルに発展する可能性もあるかもしれません。
避難所で寝泊まりしない人は、食事を分けてもらえるのでしょうか?
自宅で炊事ができない人は、炊き出しをわけてもらえる
災害救助法では、「炊き出しをもらえる対象者」を下記のように定めています。
避難所に避難している者、住家に被害を受けて炊事のできない者及び住家に被害を受け一時縁故地等へ避難する必要のある者に対して行うものであること
引用:災害救助法 第三条- 内閣府
つまり、避難していなくても、住宅が何らかの形で被害を受けていれば炊事のできない人も炊き出しをもらえるということです。
住宅で炊事ができないような被害を受けた方であれば、車中泊をしていても、住宅で寝泊りしている方でも構わないのです。
炊き出しを実施する期間は1週間まで
災害救助法では、公的機関が行う炊き出しの期間も定めています。
炊き出しその他による食品の給与を実施できる期間は、災害発生の日から七日以内とすること
引用:災害救助法 第三条- 内閣府
基本的には、炊き出しの提供期間は1週間です。
この約7日間で「ライフラインの復旧や物流を復旧できる見込み」という予測から計画が立てられていると思われます。
もちろん、想定外の大規模な災害の場合は延長される可能性もありますので、詳しくは係りの方に聞いてみた方がいいかもしれません。
また、原則として1週間以内で終了するとのことですので、状況によっては最短翌日には終了する可能性もあることも忘れてはいけません。
まとめ:災害時の炊き出しよりも救援物資配布を利用しよう
いかがでしょうか?
炊き出しは主に、自宅で炊事できない方が対象であり、予算的に食事が質素になりがちということがわかったかと思います。
もし、あなたがご自宅で炊事が可能であれば、炊き出しに参加しないことも選択肢として持つことも考えることも蟻かと思います。
(並んだりする手間や行き来する時間もありますので)
むしろ、食事の提供に参加するよりも、救援物資の配布に参加した方がいいかもしれません。
災害で避難所に避難していない方でも救援物資を受け取ることはできます。
救援物資の配布は(町)役場が行う
地域によって対応が違うかもしれませんが、筆者が住んでいる自治体では町内放送を使って配布場所と時間を知ることができました。
本震から3日後ごろ、配布場所は複数に分けられ、町役場とショッピングセンターの2か所で行われました。(某田舎の狭い町)
希望者は集まるようにアナウンスが放送されていましたので、こういった放送は聞き逃さないようにしましょう。
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