年金機能強化法により2017年8月1日から国民年金の受給資格期間が、25年間(300ヶ月)の支払いから10年間(120ヶ月)に引き下げられました。
今までは保険料を25年間納めていなければ「年金受給額が無年金(0円)」でしたが、10年間の納付をするだけで年金をもらえるようになったのです。
今回の引き下げにより、新しく年金受給を受けられるようになった方は60万人以上になるようです。
え?年金がもらえていなかった人が60万人?そんなにいたの?
年金を受給するには、25年以上保険料を支払う必要がありました。
途中まで支払ったものの25年に満たない人が多かった?ようです。
10年間納付で「年金月額1万6千円程度」
しかし、国民年金の納付を10年間しただけでは、「月額1万6千円程度」しか年金を受給出来ません。
年金は2ヶ月毎の支給ですので、2カ月間を3万2千円で暮らす必要があるのです。
もし、あなたが老後に年金を受給できたとしても、1ヶ月を1万6千円で乗り切るのは難しいといえるでしょう。
「食費」「家賃」「光熱費」などなど、いろいろ不安だなー
年金を受け取る年齢だと「医療費」も考える必要がありますね。
国民年金の保険料に未納期間がある場合は、「後納制度」や「任意加入制度」を利用することで年金の受給額を増やすことができます。
- 後納(こうのう):過去5年間の未納分を支払うことができる(平成30年9月までの限定措置)
- 任意加入:現在60歳以上で年金の受給期間が10年間に満たない方が対象
また、支払い免除を受けて減額される方も、10年前までの「追納」で減額分を取り戻すことも可能です。
このページではこのような、「後納制度」や「任意加入制度」「追納」に関する情報をまとめました。
※国民年金と厚生年金は受給額などが違いますのでご注意ください。(厚生年金は国民年金よりも受給金額が多くなります。)
※日本国民は強制加入で「支払いの義務」があります。
「支払わなくていい」ということでありません。
国民年金の受給資格期間とは?
国民年金の受給資格期間とは、「保険料の支払いがあったとカウントされている期間」のことです。
受給資格期間=納付した期間となります。
- 国民年金の保険料を「納めた期間」「免除された期間」
- サラリーマンとして厚生年金保険や共済組合に加入した期間(船員保険も含む)
- カラ期間(昭和61年3月までに国民年金に任意加入していなかった、海外在中など)
参照:必要な資格期間が25年から10年に短縮されました|日本年金機構リーフレットより
受給資格期間とは、簡単に言うと「保険料を納めた期間」といえるでしょう。
40年間納付すると月額6万円
国民年金は、20歳から60歳までの40年間が強制加入です。
もし、国民年金の保険料を40年間納付をすると、毎月約6万円(2ヶ月ごとに12万円の支給)を受け取ることができます。
最低10年間納付と比べると一生涯「4倍」の差額
最低期間の10年間だけの方は月額1万6千円しかもらえません。
単純に計算しても3倍~4倍に相当します。
国民年金は生きている限り一生涯もらえる「終身年金」です。
長生きするほど毎月金額の差が大きく開いていきます。
年金って確定するともう増やすことはできないの?
国民年金の受給額は、60歳までに保険料を納めた金額(期間)で決まってしまいます。
しかし、「後納」「追納」「任意加入」という制度で受給できる金額を増やすことができます。
※追納は、過去10年間で免除された方のみ対象です。
今からでも遅くありません。
「後納制度」「任意加入制度」を利用して年金を増やしましょう。
年金を増やせる4つの制度(2017年版)
- 「後納」:過去5年間の未納分をさかのぼって納める(2018年9月までの措置)
- 「追納」:過去10年間の免除された分の追加納付(年金事務所で申し込みが必要)
- 「任意加入」:60歳以上で受給資格に満たない方のみ
- 「繰り下げ受給」:66歳以降から年金を受給する(最大70歳まで繰り下げ可能)
これらの制度を使うことで、年金受給額を増やすことができるのです。
国民年金の保険料の未納がある方で利用できるのが「後納制度」「任意加入制度」です。
「追納」は、保険料の免除を受けた期間がある方が、後で支払うことを言います。
その他にも、前納という「翌年以降のまとめ払い」もあります。
年金の支払金額を減らす(前納)
国民年金には前納という前払いをする方法もあります。
「最大2年後の納付を前払いする」ことが可能です。
もちろん、多いほど全体の支払い金額は安くなります。
ただし、一括払いが前提になりますので、支払い金額が大きくなる傾向があります。
※割引率は、現金払い・クレジット払い・口座振替で異なります。
前納の詳細:国民年金保険料|日本年金機構
しかし、サラリーマンなどの会社員は、会社負担がありますので必ず得をするとも言えません。
「前納」は話が長くなりますので、また別のページにまとめます。
後納:過去の未納を支払う(平成30年9月まで5年間)
「後納(こうのう)」とは、過去の未納分を納めることです。
2018年9月までは、過去5年間なら支払うことができます。
ただし、後納は、平成30年9月まで(2018年9月)の期間限定措置となります。
平成30年10月以降は、利用できなくなる可能性があります。※今後追加される可能性はあります。
事情で支払えなかった方などは、早めに振込用紙を請求して納付しましょう。
10年間の後納は2015年に終了
2015年9月までは10年間の後納が可能でした。
しかし、10年間の後納ができる期間は終了し、過去5年間までとなったのです。
2018年以降、後納制度がなくなる可能性もあるのです。
「支払えるのは今のうち」と考えた方がいいでしょう。
追納:免除された金額を10年前まで納付できる
追納とは、免除された保険料を支払う制度です。
現在まで免除されたことがある方が利用できます。
国民年金は免除された期間も、受給資格期間にカウントされますが、免除された金額に応じて減額されてしまいます。
この減額分は、過去10年間まで免除された金額を「追納(免除された金額を支払う)」することで、普通の金額にすることができます。
免除で年金が1/2に減額
免除された期間に応じて年金の受給金額が減額されます。
- 全額免除:保険料を全額納付した場合に比べると「2分の1」の支給額になる(2009年3月分までは3分の1)
- 4分の3免除:5/8の支給(2009年3月分までは1/2)
- 半額免除:6/8の支給(2009年3月分までは2/3)
- 4分の1免除:7/8の支給(2009年3月分までは5/6)
参照:保険料を納めることが、経済的に難しいとき|日本年金機構
未納よりも免除申請がお得
未納は納付額が0円扱いになり、受給資格期間にカウントされません。
結果的に、年金を受け取る時に大幅減額されます。(全額免除でも年金支給額は通常の1/2になります)
国民年金保険料の支払いが困難な方は、免除申請を行うべきです。
免除の基準は「前年度所得」
国民年金が免除されるかは、前年度の年間所得の金額に関係します。
具体的には、下記のとおりです。
- 全額免除の基準:(扶養親族等の数+1)×35万円+22万円の合計
- 4分の3免除:78万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
- 半額免除:118万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
- 4分の1免除:158万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
※前年度の年間所得は、確定申告で提出した金額で審査されます。
確定申告をしていない方は、所得証明書の提出が必要になることがあります。(会社の源泉徴収票など)
所得が低くても確定申告はするべき
税金の金額は主に、税務署に届け出た「前年度の所得金額」で計算されます。
「年金の免除手続き」だけでなく「地方税」「所得税」も同じです。
確定申告をしないと、前年度と同じ所得があったものとみなされます。
つまり、税金が高くなるということです。
退職したなどで所得が低い人も確定申告をするべきです。
3年以前の追納は手数料発生
ただし、3年より以前に免除された期間の年金を支払う時は、手数料が発生します。
保険料の免除若しくは納付猶予を受けた期間の翌年度から起算して、3年度目以降に保険料を追納する場合には、承認を受けた当時の保険料額に経過期間に応じた加算額が上乗せされます
また、追納は古い方からしか払えませんので、追納するときは金額に注意しましょう。
追納する(免除された金額を支払う)予定の方は、手続きを早めにした方がいいということです。
任意加入:60歳以上の受給資格に満たない方
「任意加入制度」は60歳以上の方を対象としていますので、利用できる方は限られています。
60歳以上の方で、保険料の納付期間が「年金の受給資格に満たない」場合に限り、5年間~10年間の追加納付が可能になり舞うs。
60歳~65歳の5年間で年金の支払いをします。
通常の納付は60歳までですので、年金を受け取れない方の救済期間といえます。
任意加入制度を利用できる人(資格)
下の条件を「全て該当」する必要があります。
- 60歳以上65歳未満(年金受給資格を満たさない方は70歳未満まで可能)
- 老齢基礎年金の繰り上げ支給を受けていない
- 20歳~60歳未満までの保険料納付期間が40年未満(480か月)
- 申請時点で厚生年金保険に加入していない
60歳未満の方は利用できません。
※任意加入は最後の救済措置です。
たとえ10年になっても1万6千しかもらえませんが一生涯なのでかなりの金額といえます。
繰り下げ受給:年金の受給時期を遅らせて増額する
現在の年金支給年齢は、65歳になった年ですが、任意で66歳以降から年金を受給することができます。
受給開始年齢を上げることを「繰り下げ受給」といいます。
繰り下げることで、年金受給額が増額されます。
加算される年金受給額の計算式(2017年現在)
増額率=(65歳に達した月から繰下げ申出月の前月までに月数)×0.007
最大70歳まで繰り下げ可能ですが、増額される利率は変わりません。
国民年金のお問合せ・窓口
国民年金は、あなたの将来を大きく左右します。
些細な疑問でも、早めの解決をおすすめします。
また、払い込み用紙(年金振込通知書)の支払い期限が切れていたり、手元にない方は再発行も電話請求が可能です。
ねんきんネット:インターネットで状況確認
- インターネット上から【ID発行】の手続き
- 郵送による【パスワード】の受け取り
- メールアドレスの登録が必要です。
ねんきんネット公式ホームページ:ねんきんネット|日本年金機構
ねんきんダイヤル:0570-05-1165
年金に関する疑問や相談に関するお問い合わせは、「ねんきんダイヤル」が設けられています。
ただしい電話番号は、日本年金機構のホームページで確認しましょう。
年金ダイヤル電話番号:電話での年金相談窓口|日本年金機構
※ナビダイヤルは通話料がかかるようです。(固定電話の場合は市内通話料金のようです)
街角の年金相談センター(全国社会保険労務士会連合会)
また、年金の無料相談ができる団体もあります。
それが、全国社会保険労務士会連合会です。
全国社会保険労務士会連合会は、日本年金機構から委託を受けており、年金の相談も無料でできるようです。
しかも「街角の年金相談センター」は、ショッピングセンター内などの身近な場所(利便性が高い場所)にあるようです。
「窓口で直接相談したい」という方にはおすすめです。
※社会保険労務士会は、法定団体(厚生労働大臣の認可を受けている)です。怪しい団体ではありません。
補足:年金は2ヶ月分を1回で隔月15日に支給
年金の振り込み日は、偶数月の15日となります。(土日祝日の場合は、直前の平日)
※2ヶ月分を1回でもらいます。
国民年金の受け取り方法(受給方法)2種類
- 基本的には「銀行振り込み。」
- 「指定したゆうちょ銀行窓口(おもに郵便局)」で受け取ることもできます。(印鑑・年金送金通知書・年金証書が必要です。)
年金は2ヶ月分を1回でもらいます。
「浪費しない生活術」を身に付けておく必要がありそうですね。
税金・節税対策の関連記事
世界的に不況と呼ばれる現代では、「日常生活の節約」だけではお金はたまりません。
しかし、世の中には便利な節約する制度があるのです。
その一つが、『ふるさと納税』という方法です。
しかし、ふるさと納税は「ちょっとした手続き」が必要になったり、「控除できる金額に制限」があります。
そのような「節税情報」もまとめていますので、合わせてご覧ください。