このページでは、主に「給与を受けているサラリーマン」や「年金で暮らしている方」の方が下記のような『控除』を受ける時に書く、「白色申告」の確定申告書の書き方をご紹介します。
このページで確定申告書を作成できる方
- 医療費控除
- 寄附金控除
- 住宅ローン控除
これらに該当する方は、
このページで作る白色申告所を税務署に提出して完了できます。
また、所得が少ないフリーランサー(個人事業主)で白色申告を出す方は、コピペで作れる無料の確定申告ソフト「やよいの白色申告」でご紹介しています。
参考にいただけましたら幸いです。
事前に準備する書類を集める
確定申告書を記入する前に、まずは控除証明書などを集める必要がありあります。
一般的には、下記の書類です。
- 所得に関する書類
- 所得控除の証明書
所得に関する書類とは?「源泉徴収票」
会社からの給与所得、公的年金で暮らしている方などは「源泉徴収票」が発行されているはずです。
フリーランサーの場合は、通帳や伝票で帳簿を作成する必要があります。
所得控除の証明書とは?領収書や控除証明書
「控除」とは税金の減免などのことです。
日本では、特定の条件を満たしたときに税金を安くしてくれる制度があります。
確定申告をすると受けられる控除・減税
- 生命保険料、国民年金などで支払った金額
- 医療費が一定額に達した場合(医療控除)
- 災害で復旧に支払った経費(雑損控除)
- 配偶者、扶養、勤労学生などの控除
- ふるさと納税や義援金などで、自己負担金(2,000円)を超える寄付金をした場合
これら控除申請を行う場合は、納付確認書・保険料控除証明書などの提出が義務化されています。
※医療控除などは証明書ではなく、領収書でも申請できます。
証明書・領収書ともに、原本の提出が必要
ただし、領収書でも原本を提出する必要があります。
二重申請を防ぐため、コピーの提出は受け付けてくれません。
領収書などは他の場所に提出する場合などがあるかもしれません。
必要になりそうな方はコピーを取っておくことをおすすめします。
確定申告の証明書・領収書は返してもらえる
郵送で確定申告を提出する方で
証明書(領収書)を返してほしい場合は、「返信用封筒」を同封すると返却してくれます。
ただし、しっかりと下記3つの条件を満たすようにしましょう。
郵送の提出した時に、証明書を返してもらう3つの条件
- 返送してほしいという内容の手紙を同封する。(書式はありません。)
「領収書が必要なので返送してください。」などと明記した紙をいれましょう。 - 同封する封筒に82円切手を貼る
- 風潮に「住所や氏名」などの必要事項をかく。
ただし、領収書の確認に時間がかかるため、すぐに返送にしてもらえないこともあるようです。
時間に余裕がない方は、確定申告を税務署に直接持っていくことで解決できます。
確定申告書を税務署に直接持って行くなら「提示だけ」で済む
急ぐ場合は、郵送にしないことで解決できます。
税務署に直接出向くと、当日の提出(提示)だけで済みます。
提示とは、「見せるだけ」ということです。
その日のうちに戻ってきますので、どうしても手放したくない方は税務署に直接持っていきましょう。
ただし、たいへん混み合っていることもあります。
確定申告書は事前に作っておきましょう。
確定申告書の作成【手順】
では、さっそくここから確定申告書を作っていきましょう。
ここでは、国税庁が提供している「確定申告書等作成コーナー」を使いながら説明します。
1.所得の種類を選択
国税庁の作成コーナーでは、取得の種類に応じて「入力するべき項目」を表示してくれます。
金額の入力だけで済むので、初心者の方で知識がなくても作れるようになってます。
給与所得を選んだ場合の書き方
給与所得を選んだ方は、勤務先が「1か所だけ」の場合と「2か所以上」の方で少し変わってきます。
- 「1か所だけ」の方は、年末調整の有無を聞かれます。
※年の途中で退職し入社していないなど、年末調整を行っていない方は一か所で選びます。 - 「2か所以上」の方は、年末調整の項目が選択できません。
(年末調整を2枚以上お持ちの方は、1枚づつ入力画面が出てきます)
勤務先が1か所だけの方(年末調整済み)のみ
1か所だけの方で年末調整がお済の方の場合、該当する「控除の種類」を選択する画面に行きます。
※後で修正はできませんので、間違わないようにしましょう。
(戻るを押すと入力した内容が消える可能性があります)
2か所以上の方は、控除に関する画面は後で出てきます。
2.給与・所得の入力(源泉徴収票・支払い証明書)
給与所得の入力画面では、源泉徴収票の金額を見ながら入力していきます。
源泉徴収票が手元にないと作れませんので、必ず準備しておきましょう。
失くした方は、発行元(勤務先の会社)に再発行をお願いしましょう。
給与取得で入力する項目1(税額と扶養)
- 支払い金額1
- 源泉徴収税額2
- 控除対象者の有無3
- 配偶者特別控除の額4
- 扶養親族の数5・6
- 配偶者の合計所得金額7
給与取得で入力する項目2(控除の金額)
源泉徴収票に記載がない場合は、空欄でかまいません。
- 社会保険料等の金額
- 生命保険料の控除額
- 新生命保険料の金額
- 旧生命保険料の金額
- 介護医療保険料の金額
- 新個人年金保険料の金額
- 旧個人年金保険料の金額
保険料の控除額は、平成24年(2012年)1月1日以前の契約(旧)と以後(新)の契約で金額が変わります。
旧保険であっても、更新すると新保険の対象になる場合があります。
詳しくは、生命保険文化センター(公益財団法人)の公式ホームページ↓でご確認ください。
新しい生命保険料控除制度とは?|公益財団法人 生命保険文化センター
給与取得で入力する項目3(住宅ローン控除)
- 住宅借入金等特別控除の額
- 住宅借入金等特別控除の額の内訳
給与取得で入力する項目4(住宅ローン控除)
- 地震保険料の控除額
- 国民年金保険料等の金額
- 旧長期損害保険料の金額
- 本人が障害者
- 寡婦・寡夫
- 勤労学生
- 支払者
寡婦・寡夫(控除)とは?
寡婦とは、一般的にシングルマザーのことです。
27万円までの控除を受けることができます。
夫と死別し、若しくは離婚した後婚姻をしていない人、又は夫の生死が明らかでない一定の人で、扶養親族がいる人又は生計を一にする子がいる人
子:総所得金額等が38万円以下で、他の人の控除対象配偶者や扶養親族となっていない人に限られます。
対して、寡夫はシングルファーザーです。
どちらとも、自治体に婚姻届けを出して正式な戸籍に入っていないと対象になりません。
※同棲しただけでは成立しませんのでご注意ください。
3.所得控除の入力
ここからは控除申請する金額の詳細を記入していきます。
それぞれで書き方が変わってきますので、ご注意ください。
雑損控除、災害減免額の記入
雑損控除、災害減免額とは、災害や盗難などにあわれた方が、控除するときに入力する画面です。
控除できる金額
- (差引損失額)-(総所得金額等)×10%
- (差引損失額のうち災害関連支出の金額)-5万円
どちらか多い方を入力します。
対象になる被害は?
- 震災、風水害、冷害、雪害、落雷など自然現象の異変による災害
- 火災、火薬類の爆発など人為による異常な災害
- 害虫などの生物による異常な災害
- 盗難
- 横領
※詐欺や恐喝の場合には、雑損控除は受けられません。
詳細:災害や盗難などで資産に損害を受けたとき(雑損控除)|所得税|国税庁
医療費控除
医療費で控除を受けたい方は、「病院ごと」「医療を受けた方」毎に入力する必要があります。
一つの病院で受けた方も、入力する必要があります。
パソコンに不慣れな方は、「合計のみを記載」して領収書を提出する方法もあります。
パソコンに慣れている方は「医療費集計フォーム(エクセルシート)」を活用
もし、医療費の領収書が多く、パソコンの表計算ソフト「エクセル」に慣れている方であれば、国税庁が提供しているシートを使うとそのまま読み込むことができます。
フォームを使って作成した場合、領収書などの提出は省略できます。
(フォームを提出することで領収書の代わりにできる)
ただし、領収書を提出しない場合も5年間の自宅保管は義務付けられています。
社会保険料控除
- 健康保険
- 厚生年金
- 国民年金
- 介護保険 など
これら社会保険料を納付している方は、ご自宅に納付証明書が送られてきます。
その証明書に記載されている金額(納付済み保険料の証明額)を入力します。
小規模企業共済等掛金控除
- 源泉徴収票に記載の金額
- 独立行政法人中小企業基盤整備機構の共済契約の掛金
- 企業型年金・個人型年金加入者掛金
- 心身障害者扶養共済制度に関する掛金
これらを入力していきます。
掛金控除の詳細は、小規模企業共済等掛金控除とはをご覧ください。
生命保険料控除
- 新・旧生命保険(一般)料
- 新・旧個人年金保険料
- 介護医療保険料
生命保険控除は、保険別に金額を入力します。(合計額は自動計算)
こちらも控除証明書が保険会社から送られてきているかと思います。
また、保険会社の名称は省くことができます。(入力できない)
地震保険料控除
地震保険料控除の入力画面では、下記の3つから選択して金額を入力します。
- 地震保険料
- 旧長期損害保険料
- 地震保険料および、旧長期損害保険料の両方に該当
複数の契約があれば、「もう1件入力する」で次のページで入力できます。
ただし、控除額の上限は5万円までです。
詳細:地震保険料控除とは
寄附金控除
寄附金控除は、寄付した金額が2000円を超えると控除が適用できます。(2千円は自己負担金)
- 国への寄付
- ふるさと納税
- 赤十字社に
- 共同募金に
- NPO法人に
- 公益社団法人に
これらの寄付が該当します。
ふるさと納税は5か所以内の利用であれば、ワンストップ特例の手続きで申告は不要な場合もありますが、医療控除などを受ける場合は、あらためて確定申告で入力する必要があります。
何事にも後に出した確定申告書が優先されるため、
ワンストップ特例で申請した金額が上書きされるためです。
詳細:【ふるさと納税】ワンストップ特例チェックシート 確定申告が不要になる条件とは?
寡婦、寡夫控除
寡婦とは、夫と「死別」「離婚」、もしくは夫が「生死不明」「未帰還」の方が対象です。
寡夫は、妻と「死別」「離婚」、もしくは「生死不明」「未帰還」の方
どちらとも読み方は「かふ」
いわゆる「ひとり親家庭」の支援が目的の控除です。
法律に「母子及び父子並びに寡婦福祉法」があります。
勤労学生控除
下記の学校で働く学生で、合計所得金額が65万円以下であれば適用できます。
- 学校教育法に規定する小学校、中学校、高等学校、大学、高等専門学校
- 国、地方公共団体、学校法人等により設置された専修学校又は各種学校
- 職業能力開発促進法の規定による認定職業訓練
※合計所得金額とは、所得控除65万円を差し引いた金額です。
年間の収入金額がおおむね130万円以下であれば適用できます。
詳細:勤労学生控除とは
ただし、年間のアルバイト収入が103万円を超えると扶養控除から外れる(税金が高くなる)ため、調整する必要があります。
配偶者(特別)控除
配偶者に収入があり、控除を受けたい場合に記入します。
配偶者の源泉徴収票にある「支払い金額」の欄に記載されている金額です。
年金の収入であれば、「配偶者の公的年金等の雑所得の収入金額」に入力します。
また、配偶者のマイナンバーの記載も必要です。
配偶者控除はいくらまでなら受けられる?
「配偶者の年間の合計所得金額が38万円以下」となっています。
合計所得金額の計算方法は、2つの計算式を使います。
- 「給与所得=給与収入-給与所得控除」
- 「合計所得金額=給与所得の金額+不動産所得の金額」
詳細:配偶者の所得がいくらまでなら配偶者控除が受けられるか|所得税|国税庁
まずは給与所得を計算し、給与所得に不動産所得を合計することで求めらるとあります。
不動産所得がなければ、給与所得が所得金額となります。
この金額が38万円以下であれば、配偶者控除が受けられます。
38万円以上となり受けられない場合でも、76万円未満までなら配偶者特別控除が受けられます。
扶養控除
配偶者控除の上限は下記表のとおりです。
年齢 | 控除上限額 | |
一般の控除対象扶養親族 | 16歳以上 | 38万円 |
特定扶養親族 | 19歳以上23歳未満 | 63万円 |
老人扶養親族 | 70歳以上 | 同居:48万円
同居なし:58万円 |
扶養控除を受ける方も、マイナンバーを記載する必要があります。
4.その他:税額控除等の入力
「3.所得控除の入力」で入力していない控除がある場合は、こちらで入力します。
該当しない方は、次のページに進みましょう。
- 住宅借入金等特別控除
- 政党等寄附金等特別控除
- 住宅耐震改修特別控除
- 住宅特定改修特別税額控除
- 認定住宅新築等特別税額控除
- 災害減免額
- 外国税額控除
- 予定納税額
- 本年分で差し引く繰越損失額
5.入力・計算結果の確認
この画面では還付される金額が表示されています。
「還付」ってことは、お金が戻ってくるってこと?
はい。控除の税制度によって違いますが、口座に直接振り込まれたり、翌年の税金が安くなる(控除)こともあります。
確定申告のメリットはこのような税金の節約(節税)にあります。
年末調整で源泉徴収された金額が多かったり、医療控除などで取り戻せる可能性がある場合は、ご自身で確定申告した方がお得な場合があるんです。
また、確定申告書の入力項目も見ることができます。
このページを参考に手書きすることもできます。
6.住民税に関する事項を記入
住民税の徴収方法の選択は選択しなくてもかまいません(任意)が、下記の2項目は「ある」「なし」を選択する必要があります。
- 16歳未満の扶養親族の有無
- 別居している方の控除対象配偶者・控除対象扶養親族の有無
7.住所氏名等入力
こちらでは、今回作成した確定申告書に該当するの方の氏名や性別、電話番号などを入力します。
あなたの確定申告書であれば、あなた自身のお名前を入れます。
配偶者やお子さんの確定申告書も作成できます。
世帯主との続柄でわける
- 世帯主様であれば「本人」。
- 配偶者であれば、「妻」。
- お子さんであれば、「子供」と入力します。
住所・提出する税務署の記入
この画面では、現在お住まいの住所と納税地(提出先の税務署情報)を入力します。
※実際の確定申告書を手書きする場合も明記する必要があります。
8.還付金の振込先を記入
還付金が受けられる場合は、受け取り先の銀行口座を入力します。
ただし、本人名義の口座でなくてはいけません。
9.マイナンバーの記入(義務)
確定申告書の提出時には、マイナンバーの記載が義務化されています。
本人以外にも、扶養控除や配偶者控除などを受ける方がいらっしゃれば全員分を記入します。
※インターネット上の画面で入力しなくても先に進めます。
(パソコンのウイルス対策に不安な方は手書きで記入しましょう。)
10.帳票の印刷
お疲れ様でした。
ここまでくると、下記の表が印刷できる状態です。
- 申告書B第一表【 提出用 】
- 申告書B第一表【 控用 】
- 添付書類台紙
- 申告書B第二表【 提出用 】
- 申告書B第二表【 控用 】
- 提出書類等のチェックシート
印刷する前にダウンロード(パソコンに保存)する必要があります。
郵送する方は、こちらのページでご確認ください。
関連記事:白色申告の郵送で同封(提出)するもの一覧 チェックリスト
確定申告書作成コーナーで作成する時の注意点
いくつか注意することがあります。
「途中で保存」はパソコンにデータを保存(ネット上に保存できない)
入力した情報を途中で保存することもできますが、パソコンにデータを保存する必要があります。(.data端子のファイルがパソコンに保存されます)
※また、別のパソコンで作業を続ける場合は、保存した「.dataファイル」をそのパソコンに移動する必要があります。
別のパソコンでも確定申告書を作成したい方は、ネット上に保存できるソフトを利用することをおすすめします。
ネットに保存できる国定申告用ソフト「やよいの白色申告」の使い方