エコノミークラス症候群とは?
「血液が凝固した塊(血栓)」が、何らかの原因で動脈に流れ、血液が流れなくなることで体調不良を起こす血液障害です。
正式名称は「急性肺血栓塞栓症」
主に肺の動脈に血栓が入り込むことで、血液に酸素が供給できなくなり、窒息することから「急性肺血栓塞栓症」と呼ばれています。
口や鼻は呼吸をしているけれど、酸素が足りないためショック死することもあるようです。
長時間のフライトで、飛行機の狭い座席に座り続けた人が次々と発症したため、「エコノミークラス症候群」というハイカラな名前がついています。
もちろんビジネスクラスやファーストクラスの人も、急性肺血栓塞栓症になることがあります。
そのため、別名ロングフライト症候群とも言います。
急性肺血栓塞栓症 | 医学的な呼び名 |
エコノミークラス症候群 | 長く使われている言葉 |
ロングフライト症候群(LFT) | エコノミークラス以外でもなるので名前を変えた |
※上記はいずれも同じ症状です。
「血栓塞栓症」は、日常生活でもなる可能性がある
血栓塞栓症になる可能性がある場所は、別に飛行機だけとは限りません。
- 長時間座り続けて作業をする「デスクワーク(事務職)」
- 夏場などの高温多湿による「熱中症や脱水症状」
- 車中泊での「姿勢固定」と「水分不足」
- 長時間の旅行(飛行機だけでなく、自動車、電車などでも)
これらが引き金になって起こる可能性もあり、決して「普段の生活に関係ない」とは言えない病気です。
原因は「足の血液循環」と「水分不足」
エコノミークラス症候群になった人の多くは、長時間同じ姿勢で座っている時に起こります。
人が座った状態では、体全体の血液が足に集中します。
(それでも、頭などには血液を送り出しています)
足にたくさんの血液があるということは、成分の濃度が濃くなっている状態です。
この状態を長時間続けてしまうと、血液が固まりやすい状態になってしまうのです。
また、「水を飲まない」「緊張などで発汗が多い」など、体の中の水分が少なくなることで、発症率が高くなるともいわれています。
→寝返りをすることで、血液の循環を良くすることが血液の流れを改善するのは知られています。
介護や病院では、「寝返りを助ける必要がある」と言われますが、血液の流れをよくすることに関係しています。
つまり、エコノミークラス症候群を予防するには、適度の「運動」と「水分補給」が欠かせないといえます。
血栓は「体内の水不足」が原因 血液が詰まって作られる
血液の90%は水です。
血管の中に水を通し、赤血球や白血球などの成分が流れています。
体内の水分が足りなくなると、血液中の水分を他の細胞が吸い上げてしまうのです。
結果的に、血液濃度が高くなり、曲がりくねった血管に赤血球や白血球、コレステロール(脂肪)などが詰まってしまいます。
そして、だんだんと積もっていき固まってしまうのです。
これが血栓と呼ばれる血液中のゴミです。
この血栓は、出来た血管の片隅にくっついていますが、体を動かすなど「衝撃」ではがれてしまいます。
そして、血液に乗って、肺にある細い血管に詰まってしまうのです。
またこの血栓は、肺だけでなく、脳や心臓に行くこともあります。
血栓が脳に行くと「脳梗塞」、心臓に行くと「心筋梗塞」に
脳梗塞や心筋梗塞という病名を聞いたことがあるかもしれません。
- 脳梗塞:脳内の血管が詰まってしまい、脳に血液や栄養を送ることができない病気
- 心筋梗塞:心臓に血液を供給している血管(冠動脈血管)が詰まる病気
どちらにしても、血管が詰まってしまうことによる病気です。
大抵の原因は、動脈硬化などですが、エコノミークラス症候群(血栓塞栓症)でも起こる可能性があるのです。
血栓の予防 血液のよどみを改善する食べ物
震災のようにどうしても、避難生活が抜け出せず「長時間、同じ姿勢になってしまう」事も考えられます。
また、飛行機がフライト中はむやみに立つことはできません。
その時には足をさすってマッサージすることで、「血液の流れを促す(サポートする)ことが改善につながる」とのことです。
それでも、小さな血栓はできてしまうようです。
こればかりは、目に見えない部分ですので仕方がありません。
しかし、食べ物に含まれるある成分を吸収することで「血栓を溶かす」事ができるのです。
それが、納豆などの発酵食品に多く含まれる「ポリアミン」という成分です。
ポリアミンは、「血液の詰まり」を改善する
日本食品機能研究会によると、ポリアミンという成分は動脈硬化を抑制する効果があるとのことです。
免疫細胞内のポリアミンが上昇することで動脈硬化が進行しにくい状態になることが考えられる実験結果が報告されています。
引用:高ポリアミン食、高齢者の動脈硬化抑制に貢献 日本食品機能研究会より
http://www.jafra.gr.jp/poriamin.html
動脈硬化とは、血管にコレステロールや脂肪がくっついてしまい、へばりついて硬くなった状態です。
血管にくっついた固まりが、何らかの原因で剥がれ落ち脳血管にいくと脳梗塞になります。
このような症状は、エコノミークラス症候群と似ていませんか?
もちろんポリアミンで改善できるとは限りませんが、ちょっとした食事のバランスで気を付けることで血栓ができるのを予防できるのです。
ポリアミンを多く含む発酵食品
発酵食品と聞くと、漬物を思い浮かべるかもしれません。
ポリアミンは微生物が作り出しますので、キムチやぬか漬けにも含まれます。
しかし、注目したいのが大豆の発酵食品(納豆や味噌)です。
なぜなら、もともと大豆に多く含まれている「ナットウキナーゼ」も血栓予防になるからです。
もともとある成分が、乳酸菌によりさらに増えるため、他の食品よりも多く吸収できるのです。
日本人に血栓塞栓症が少ないのは、昔からこうした発酵食品が多くあったからといわれています。
また、乳製品の発酵食品(ヨーグルトやチーズ)にも血栓を防ぐポリアミン成分が多く含まれています。
納豆が食べられない人でも、味噌汁やヨーグルトなどは食べたり飲んだりできるのではないでしょうか。
しかし、インスタント味噌汁には効果が期待できません。
粉末にする際に多くの栄養が抜けてしまう為です。
味噌汁はできる限り、味噌から絞って作るお手製の味噌汁にしましょう。(味噌は市販のものでOK )
血液のドロドロを改善する食べ物も予防に効果的
血栓塞栓症(けっせんそくせんしょう)は、血液が固まることで血栓ができるのが原因とお話ししました。
これは動脈硬化とほぼ同じ原理であり、よく言われる「血液ドロドロ」の状態が関係しています。
このようなドロドロを改善し、サラサラにする食べ物も予防に効果があるということです。
海藻 | ミネラルも同時に食べれる食品。 |
青魚(いわし、サバ、サンマ) | カルシウムも豊富。 缶詰なども骨ごと食べれるためおすすめ |
チョコレートなどのポリフェノール | ポリフェノールは抗酸化作用と脂肪燃焼効果もある |
梅干し | 鉄分も同時にとれ、食欲促進にもつながる。 ただしカリカリ梅は例外 |
野菜 | ビタミン・ミネラル・カリウムなどの栄養が同時にとれる |
ネギ・玉ねぎ・にら | 生玉ねぎをスライスして野菜と一緒に食べたり、ニラレバ炒めがおすすめです。 納豆にネギも効果的。 |
日常生活でも急増中 他人ごとではない「血栓塞栓症」
ここまでは血栓が「出来てしまう原因」と「予防」についてお話いたしました。
しかし、エコノミークラス症候群になるのは、飛行機や被災地だけとは限りません。
近年多くなっている「デスクワーク(事務職)」でも起こりうるのです。
一般社団法人 日本循環器学会(JCS)の資料によると、
肺血栓塞栓症は,欧米では虚血性心疾患,脳血管障害と並んで3大血管疾患として捉えられている
引用:循環器病の診断と治療に関するガイドライン日本循環器学会(JCS)より
http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2009_andoh_h.pdf
とあります。
日本では症例が少なく、珍しい病気としてとらえられていたようですが、近年では日本人の間でも急増し年間2000件の発症例を確認していると報告しています。
過去10年間で2.25倍に増えている エコノミークラス症候群
これらは、ただ単に「海外旅行が増えたから」とは言えません。
- 事務(デスクワーク)中心になった働く職場
- 食生活で肉食(コレステロール)が増えた
- 洋食中心で栄養のバランスが崩れた など
このような原因も関係しているとしています。
また、高齢になると、体全体の水分量が減るため、血栓ができやすい体質になるといわれています。
40代から血栓ができやすい体質になる
日本循環器学会が公表している資料によると、血栓塞栓症は「年齢が40歳以上になるとなりやすい」とわかります。
これは、年齢とともに体内の水分が減っていくためと予想できます。
体の水分は年齢とともに失われ、その分血液濃度が上がってしまいます。
結果的に、血液が詰まりやすい体質になってしまうのです。
これから暑くなると「脱水症状」とともに作られやすい「血栓」
血栓塞栓症は、熱中症や脱水症状など、真夏に起きやすい時期にも特に注意をしたいところです。
体の水分が、汗として出てしまいますので、一定の水分量を保つためにも補給することを心がけたいところです。
夏だけでなく、初夏に差し掛かる「5月のGW」も車内において、熱中症や脱水症状を引き起こす人が増えてきます。
ドライブ中や停車中は、車内温度が適正になっているのか、乾燥し過ぎていないのかは確認しましょう。
特にエアコンの風は、乾燥しやすいので窓を開けるなどして、湿度を保つ工夫も考えましょう。
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