2016年3月から「若者雇用促進法」が改正され、新卒者の就職活動が大きく変わります。
求人を行う企業は新卒から3年以内の求職者に対して、
「職場の情報を公表することを義務化」したほか、「職場への定着をサポートする環境づくり」なども実施しなくてはいけません。
若者雇用促進法は、新卒で就職活動にかかわる方はもちろん、中途採用(中退者)も対象になります。
これから就職活動を行う予定の人は、一度目を通して利用してはいかがでしょうか?
- 労働条件などの明示(離職率なども)
- 基本給の額・固定残業代の計算方法を明示
- 採用内定の取消しは無効にする
- 卒業後3年間は新卒者と同様の応募をできるようにする【既卒者が対象】
- 青少年の仕事に対する能力を高めるための措置を講じること
※”努力義務”なので強制力はほぼない。
ただし、万が一虚偽の情報を公開した場合「ハローワークに6か月間求人票を出せなくなる(求人できない)」罰則もあります。
※民間職業紹介事業者にも違反業者を紹介しないように呼び掛けています。(リクルートや派遣業者などの求人仲介事業者)
参照:青少年の雇用の促進等に関する法律(若者雇用促進法|厚生労働省より
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000097679.html
では若者雇用促進法で変わる「企業側の義務」や「就職活動でどのように利用するのか」を詳しく見ていきましょう。
労働条件の明示 どんな情報が聞けるのか?
若者雇用促進法では、雇用に関する情報の公開を企業側に義務付けています。
しかし、ある程度聞くことができる項目は決まっています。
それが、厚生労働省が公表している「青少年雇用情報シート」と呼ばれる形式で厚生労働省が配布しています。
(書き方の例もあります。)
配布ページ:青少年の雇用の促進等に関する法律(若者雇用促進法) |厚生労働省
この青少年雇用情報シートでは、大まかに分けると13項目の質問ができるようになっています。
※シートで見ると15項目です。
募集・採用に関する情報 | |
---|---|
1 | 直近3年間の新卒採用者数と離職者数(年度別に) |
2 | 直近3年間の男女別の新卒採用者数(年度別内訳) |
3 | 平均勤続勤務年数 |
4 | 従業員の平均年齢 |
職業能力の開発・向上の取り組み状況 | |
5 | 研修の有無・内容 |
6 | 自己啓発支援の有無・内容 |
7 | メンター制度の有無 |
8 | キャリアコンサルティング制度の有無・内容 |
9 | 社内検定制度の有無・内容 |
職場への定着促進への取り組み状況 | |
10 | 前年度の月平均の所定外労働時間 |
11 | 有給休暇の平均取得日数 |
12 | 育児休業所得者数と出産者数(男女別の取得状況) |
13 | 女性の役員や管理的地位に就いている割合(企業全体で) |
※正社員と非正社員の両方を知りたい場合、別々に請求しなくてはいけません。(いないと思いますが)
情報公開を請求する前に必ず確認すること
新卒者の雇用を行う事業主には、青少年雇用情報の提供として企業情報を提供するように義務を課しています。
罰則もあるため、企業側はある程度の情報提供には応じなければいけません。
しかし、自力で調べずに情報提供を請求してはいけません。
- ホームページなどでの公表
- 会社説明会での提供
- 求人票への記載
などにより、”青少年雇用情報の全ての項目について情報提供することが望ましい”としています。
つまり何らかの形で、情報提供をしている可能性が高いといえます。
昨今では大きい企業でなくても、自社ホームページを持っていますし、大抵はハローワークにも新卒者向けの求人を出していると思います。
- あなた自身は、これらの情報をあらかじめ調べましょう。
- それでも知りたい情報がなかった場合、「調べた旨を伝えて情報公開の請求」をした方がいいといえます。
このような手順を取ることで、「採用担当者にいい印象を与えることができる」はずです。
情報公開の申請する側(求職者)にもルールがある
また、厚生労働省は、新卒者側が行うべき”情報公開の求め方”のルールも明示しています。
下記のルールに則って正しい方法で情報開示を求めましょう。
- 求職者の氏名(あなた自身)
- 連絡先(郵送の場合は住所、Emailならメールアドレス)
- 所属学校名、在学年又は卒業年月
- 情報提供を希望する旨
また、会社説明会などの会場では口頭で「情報開示を請求したい」と伝えることも可能になっています。
ただし、ビジネスマナーを重視すると、後日改めて郵送かメールで連絡した方がいいといえます。
ビジネスの世界では、”口頭だけの約束ということはあり得ないこと”だからです。
しっかりと書面(文章)でやり取りする癖をつけましょう。
こういった行動も採用者は見ているのです。
情報請求は”就活で不利になる”は大きな間違い
一部報道では、「利用すると就職活動で不利になりそう」と考える傾向にあるという情報が飛び交っています。
しかし、若者雇用促進法は求職者の”権利”です。
求人応募者が職場状況の情報公開を求めても『不利益な取扱いをしてはいけない』と定めています。
不利な扱いを受けたと申告があると、全国労働基準監督署が調査したうえで罰則もあります。
ブラック企業撲滅の目的もありますので、安心して利用しましょう。
また、通常の企業であれば、情報請求をするということは不利にはならないはずです。
採用単調車に「自社の求人に興味がある証拠」ととられ、プラスの要因にはなってもマイナスになることは考えにくいからです。
「若者雇用促進法を知らない」「利用しない」求職者は不利になる
若者雇用促進法は、2016年に始まった新しい法律とはいえ、これを知らない人は就職活動で不利になります。
採用担当者に「情報収集の力が不足している」あるいは「積極性がない」とみなされる可能性が高いからです。
このような目で見られると大きなマイナスになることでしょう。
社会人としての権利や義務を知らない人は、たとえ雇い入れても「法律やルールに対して意識が低く問題を起こす可能性がある」という考え方もできるからです。
まだ学生とはいえ、こうした”社会人の目”で見ることも大変重要なことです。
違反した企業への罰則は?新卒求人の不受理
求人を行う企業が、若者雇用促進法で定めた義務を守らない(違反した)場合罰則があります。
それは、「ハローワークで新卒求人の掲載を取りやめたり、受付を拒否する」という罰則です。(これを不受理という)
- 労働基準法
- 最低賃金法
- 男女雇用機会均等法
- 育児介護休業法
これら法律を違反した企業は、「改善するまで」と「改善後6か月間」はハローワークで新卒者を募集することができません。
また、他の就職仲介業者にも、紹介しないように圧力をかけています。
ただし法的拘束力はありませんので、今後さらなる改正を行う可能性もあるのではないでしょうか?
2016年3月から始まる法律ですので、問題が発覚すれば徐々に変わっていくと思われます。
就活中も情報収集は怠らないようにしましょう。
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