マイナンバー制度は、2016年から本格的に開始されます。
しかし、この個人番号収集が、中小企業にとって大きな負担になっています。
今後、中小企業の約3割がマイナンバー制度によって、廃業する可能性があるといわれています。
もしかすると、
あなたのご近所にある個人経営のお店やサービスがなくなる(廃業する)可能性があるかもしれません。
それだけではありません。
個人経営の会社やお店で働いている人は、職を失う可能性があるという事も忘れてはいけません。
- 従業員の個人番号管理→新たな事務作業の発生
- 個人番号の漏えい対策→セキュリティー強化、担当者の自治体への申告義務
- マイナンバーに関する従業員の教育→すべての従業員が理解する必要がある
お金に関するすべての行政手続きにマイナンバー記載が義務化
2016年のマイナンバー制度でもっとも課題になっているのは、「税金にかかわるすべての書類に個人番号の記入」が義務化されることです。
これは、人にお金(給料や報酬、経費)を支払っている、すべての会社が該当します。
つまり、「2017年1月末までにすべての従業員、取引先の個人番号を集める必要がある」ということです。
対象者 | 対象のお金 | |
給料・手当 | 正社員・契約社員・パート・アルバイト・超短期アルバイトなど、会社と雇用契約を結んでいるすべての人 | 交通費・雇用保険・社会保険・年金・ボーナスも含む |
報酬 | 役員・フリーランス・委託・個人事業主・地主や家主 | 役員報酬・外部委託などの支払い・家賃や土地使用料 |
その他税金にかかわるお金 | 株・FX・副業を行っている人 | 証券取引(株・FX)、ライターなども含む副業・アルバイト |
マイナンバーの事務処理が大きな負担に
すべての企業は、まず2017年1月末までに、マイナンバー(個人番号)を集めて法定調書に記入する必要があります。
これは、本来の業務とは全く関係のない事務作業です。
さらに、個人番号は不正漏えいを防止するため、決まった人しか取り扱えません。(指定管理者)
※人事部や店長などのごく一部の行政に届け出た人のみが取り扱える
新たに、担当者を作る必要がある、無駄な事務作業が必要など、多くの作業が中小企業には負担になっています。
会社が1年間で支払った給料の詳細を、翌年の1月末日までに、税務署に届け出る必要があると法律で定められています。
これを使って、所得税や住民税が計算されます。
基本的に会社は、人件費を経費として計上しています。
すべての経費を税務署に届け出ることで、実際の利益がわかりますのでそこだけに税金をかけます。
確定申告を体験された方はご存知かもしれませんが、
所得税の対象になる金額は、収入を得るのに必要な経費(交通費や材料の購入費用など)を省いた金額です。
今までは、住所や氏名の記入だけでよかったのですが、新しく個人番号を入力する項目ができました。
これにより税務署が、正確な人件費を把握することができるようになります。
今まで:架空の人件費を水増しする不正業者もいた
従来の法定調書には、ある欠点がありました。
それは、架空の人物を書いても税務署が把握できない(バレにくい)ということがありました。
たとえ、会社側が支払いをしたと申告をしても、その本人が確定申告をしなければわからないからです。
税務署は住所などを特定することができず、うやむやになっていたのです。
マイナンバー記載が義務化されると、正確な個人番号を記入しなくてはいけません。
2016年~:個人番号の記入義務化→水増しできない
2016年以降は、個人番号がすべての行政書類への記入が必要になります。
マイナンバーは、すべての個人データが紐づけされた番号ですので、架空名義を作ることはできません。
たとえ、実在する人の番号を作れたとしても、
個人番号、住所、氏名、生年月日などがすべて合わなければ不正とわかってしまします。
今後は、「完全になりすましを防止できる」ため、水増しが一切できなくなるのです。
個人番号が狙われる理由 悪徳業者の経費水増しで使われる?
個人番号は、簡単に偽造することができません。
すべての個人情報を行政が紐づけているからです。
今まで経費の為に人件費を水増ししていた悪徳業者にとっては、個人番号が喉から手が出るほど貴重な情報です。
そのため、詐欺被害が各地で多くなっているのです。
特に、個人番号のセキュリティー対策が後手後手になる中小企業が、狙われると予想されます。
すべての企業が頭を抱えるセキュリティー問題
個人番号が狙われているため、各企業はセキュリティー対策に頭を悩ませています。
中小企業だけでなく、大手企業も例外ではありません。
なぜなら、会社が大きければ大きいほど、従業員の数が多く収集や管理がしきれないからです。
もし番号を漏えいしてしまえば、企業全体のイメージが損なわれることになります。
中小企業なら、損害賠償だけで一発倒産する可能性があります。
最短でも7年間は管理しなくてはいけない
マイナンバーは、たとえ1日限定の超短期アルバイトでも必要になります。
雇用契約がなくなっても、7年間は個人番号を保管・管理しなくてはいけません。
なぜ7年間というと、給料の支払いに関する書類(源泉徴収票など)は、法人税の帳簿書類に当たり、7年間の保管が義務付けられているからです。
政府側によるマイナンバー制度の支援は一切なし
マイナンバーにかかわる費用は、国や自治体は支援してくれません。
すべて自分たちで準備しなくてはいけないという点でも大変です。
それどころか、セキュリティー対策を怠れば、個人情報保護法や番号法に違反することになり、厳しい罰則を受けることになります。
こうした点で見ても、多くの企業はマイナンバーが重荷になっています。
中小企業にセキュリティー関連の売り込みが殺到
マイナンバーを漏えいしないためのグッズが、中小企業の経営者を中心にセールスされているようです。
小さな商店や零細企業の社長さん、あるいはオーナーさんに、セキュリティーグッズを売りつけられているのです。
しかも、本当に価値のある商品ではなく、意味のない商品が多いようです。
小さな個人商店や零細企業のオーナーさんは、年齢が高くこのような制度に比較的ついて行っていないこともあり、交わされてしまうケースもあるようです。
私たち個人も、こうした便乗商法に注意をしなくてはいけません。
絶対にパソコンやセキュリティーソフトが必要ではない
「マイナンバーのセキュリティー対策」といわれると、パソコンやセキュリティーソフトが必要と考える方も多いようです。
ですが、管理するマイナンバーが少ないのであれば、パソコンなどで管理する必要はないのです。
パソコンで管理をする必要はなく、紙にまとめてあれば問題ありません。
別に今まで通りwebでオンライン申請をする必要がなければ、紙に書いてしまい、金庫の中にしまい込んでしまえばいいのです
金庫が破られない限り、外部に漏れることはほぼあり得ません。
知識のない人が無理やりパソコンなどで管理しようとすると、ウイルスなどで漏えいする危険性があります。
もし必要であれば、正しい知識を持つことが大切です。