中国の大規模な政策といえば、「一人っ子政策」と呼ばれる出産制限です。
1979年に始まり、2人以上の出産をした場合、高額な罰金などを科せられるということで、意図的に人口増加を抑えたのは有名です。
一人っ子政策という名前はあなたも、小学校・中学校の歴史の授業で習ったかと思います。
その結果、40年間で約17.32%の出産減少になったとのデータもあります。
しかし、この政策が”少子高齢化”という引き金を引いてしまうとはこの当時考えられていなかったのです。
2040年までに65歳以上の人口が3億人になる一方、介護職に携わる若い年齢の人口が軒並み減っているのです。
一人っ子政策は幕を閉じ、新たに二人っ子政策を開始すると発表がありました。
中国の歴史が大きく変わろうとしています。
2040年までに中国の65歳以上が3億人突破
今中国では、高齢化が進んでいます。
統計局ホームページに掲載されている統計を見ると、以下のようになります。
65歳以上の人口推移(予測含む) | 15歳以下 | ||||
人口割合 | 人口数 | 人口割合 | 人口数 | ||
2010年 | 13億5,982万 | 8.4% | 1億1,422万人 | 18.1% | 2億4477万人 |
2020年 | 14億3,286万 | 11.7% | 1億6765万人 | 18.2% | 2億6078万人 |
2030年 | 14億5,329万 | 16.22% | 2億3543万人 | 15.9% | 2億3107万人 |
2040年 | 14億3,549万 | 22.13% | 3億1725万人 | 14.6% | 2億0958万人 |
出典:統計局ホームページ 2-3世界人口・年齢構成の推移(1950~2050年)
http://www.stat.go.jp/data/sekai/0116.htmのデータを利用して作成しています
2020年までは、まだ65歳以上の人口比率が11.7%、15歳以下が18.2%です。
しかし、2030年以降には15歳未満と65歳以上の割合が逆転し、2040年には中国総人口の1/4近くが65歳以上になると予想されています。
しかし、この統計は2013年に国際連合(United Nations)が公表している数字ですので、今回の二人っ子政策の影響は含まれていません。
よって、今後は変わると思われます。
しかし、中国本土では二人っ子政策が進まない要因がいくつかあります。
中国の少子化加速の理由は?現代文化にある
それは例えば、新入学や求人数などの競争激化です。
2015年前半まで、中国はいわゆる経済成長のバブル期にありました。
日本にも中国人観光客による「爆買い」が盛んに行われ、景気のよさを伺わせられました。
(爆買い・・・漢検主催の”今年の漢字”にも2位でランクインしてました)
このような高度成長期が長期間続くのであれば、求人も右肩上がりになり将来の人口増加にも期待も出来るでしょう。
ですが、時すでに遅し、今ではバブルがはじけてしまいました。
中国経済は衰退し始めているのです。
こんな時に、二人っ子政策といわれても、ホイホイ付いていけないのです。
都会への出稼ぎ中心:中国版ドーナッツ化減少で過疎化も
中国は、地域によって貧困の差が激しい国です。
農村と都会では、賃金が大きく違うこともあり、若い人は都会に流れてしまっているのです。
さらに、農村の人手不足は、労働者だけでなく介護者の減少にもつながり悪循環を起こしています。
経済面だけではない中国の一人っ子事情
その上、中国は世界でも稀に見る「学力戦争」「就職戦争」の国です。
特に中国の大学入学試験は、知で知を争う過酷な国として有名です。
あなたもテレビで、中国の受験戦争についての特番を見た事がありませんか?
名門校に入るために、中学生の頃から学校と家庭でみっちりとスパルタ教育を受けるそうです。(塾はないらしい)
この受験戦争に勝つためには、「一人っ子の方が、力を注げるためいい」と考える家庭も少なくないのです。(資金力など)
そういった家庭事情により、少子化に歯止めが聞かないとされています。
また、日本のような「具体的な少子化政策」がまだないのも要因のようです。
といっても、少子高齢化は国際的に見ても、先進国にとって大きな課題です。
「日本も他人事ではない」という事を自覚しなくてはいけません。
日本の65歳以上は、2040年には36%に上昇
ついでに日本の人口割合も見ていきましょう。
すると、日本の高齢人口数は少ないのです。
しかし、高齢者の人口比率を見ると、中国よりも進行しているではありませんか。
※2040年でも中国の高齢者比率は22.13%です。2030年は16.22%。
65歳以上 | 14歳未満 | ||||
総人口 | 人口比率 | 人口数 | |||
2010年 | 1億2806万人 | 23.0% | 2948万人 | 22.5 | 2874 |
2020年 | 1億2410万人 | 29.1% | 3612万人 | 27.8 | 3456 |
2030年 | 1億1662万人 | 31.6% | 3685万人 | – | – |
2040年 | 1億0728万人 | 36.1% | 3868万人 | – | – |
出典:統計局 統計からみた我が国の高齢者(65歳以上)http://www.stat.go.jp/data/topics/topi900.htm
※こちらの統計データは、2015年9月20日現在の統計を元に集計しています。
出典2:統計局ホームページ/統計トピックスNo.89/我が国のこどもの数 -「こどもの日」にちなんで- 14歳未満(「人口推計」から)http://www.stat.go.jp/data/sekai/0116.htm
中国と違った意味で、深刻な問題があることがわかります。
特に2030年から40年の10年間で、65歳以上の人口割合が5%も上昇するのは異例としか言えません。
国際的に見ても、日本は65歳以上の比率が非常に高すぎる
特に、2040年代(平成52年度)の36.1%は、3人に一人が65歳以上という事です。
これは海外の国と比較しても、高すぎる傾向にあります。
経済大国のアメリカでさえ、1/5に留まっています。
高齢化が進むヨーロッパも、3割程度しか高齢者がいないのです。
これでは、「日本の高齢化が中国よりも深刻なのは明らか」ではないでしょうか?
高齢化で何が恐いのか?
そもそもこういった高齢化は、何に影響するのでしょうか?
少子高齢化が直接影響する物について、大きく報じられているのが社会保障です。
日本で言うと、国民年金や国民健康保険です。
これらの原資は、現役世代と呼ばれる18歳~60歳未満が修める年金税・健康保険税に関わってきます。
これらは、
- 少子化になるにつれ「払う人が減り」
- 高齢化になるにつれ「受け取るべき人が増えます」
つまり、少子高齢化により、財政破綻も見え隠れします。
それを回避するには、2017年以上の消費税増税が必要になるかもしれません。
将来日本の消費税は、ヨーロッパの消費税率27%に近づく?
これから日本の消費税は10%になります。
食料品や食品は、軽減税率を導入して8%に留まりました。
しかし、2020年~2040年の間には、何度となく増税されるのではないでしょうか?