今回のTPPでは、主に農林畜産業などの関税撤廃が問題視されていました。
特に、コメ(お米)の関税が撤廃されてしまえば、「日本でお米を作る農家がいなくなるのでは?」とも言われていました。
海外の安いおコメが入ってくると、お米の相場(値段)が大幅に減ってしまい収入が激減する恐れがあるからです。
今でさえ、農業に就く人は少ないのに・・・
しかし、この問題は多少解決したと見ていいでしょう。
コメへの関税は現状維持 最悪なシナリオを回避
今回のTPPではコメの関税は現状維持(341円/kg)に決定しましたので、最悪なシナリオは回避できたといえます。
最悪なシナリオとは、コメの関税がなくなり、日本のコメ農家がいなくなること。
、「無関税輸入枠を新設する」という条件付ですが何とか、うまく交渉できたといえます。
コメ輸入に「無関税輸入枠」を新設 安い海外産のコメは結局入ってくる
関税をそのままにする条件として、
アメリカとオーストラリアからのコメ輸入には、「無関税輸入枠」が新しく設けられました。
無関税輸入枠とは、一定の決められた量(枠)の輸入米には、関税をかける事ができないというです。
安い海外産のコメが日本国内にも流通し、価格が下落する可能性は高いです。
TPPで日本が合意した「無関税輸入枠」
- TPP発効から3年間は5万6000tが無税。(アメリカ産5万トン、オーストラリア産6千トン)
- 3年以降は、年々徐々に増やす。
- 13年目以降は、7万8400tが関税をかける事ができない!(無関税)
(アメリカ産7万トン、オーストラリア産8400トン)
お米を作る農家にとっては、結局「大打撃」
コメの輸入にかかる関税はそのままですが、最低でも年間5万トンは無関税です。
結局はお米の価格相場が下落するのは目に見えています。
これを受けて政府は、「コメ農家に転作を促す」という政策を取ると発表しています。
「日本米を作る農家が、大幅に減るのでは?」と予想されます。
絶滅する事は避けられそうですが、果たして生き残れる農家はどれ程いるのでしょうか?
その他の農林畜産業を営んでいる方も、同じように打撃を受けています。
しかし、農林畜産以外の産業では、「関税が撤廃されると日本製品が多く出回る」という大きなメリットが生まれることも忘れてはいけません。
日本からの輸出関税が減少「made in Japan製品」が海外で多く売れる
あなたもご存知かもしれませんが、日本の工業製品は海外で評価が高く、人気があります。
車やバイクなどの自動車部門、パソコンや家電などの精密機械は、世界中でmade in Japan(メイドインジャパン:日本製)が売れています。
中国人観光客の爆買が流行していますが、ほとんどの人がmade in Japan製品だけを買うそうです。
爆買が流行る理由は関税が高いから
中国で日本の製品を輸入すると、関税がかかり高くなりますが、日本で直接買うと一定額までなら免税されます。
だから観光客は、日本製品のみを爆買して帰ります。
日本国内で免税店が増えているのも、中国からの爆買をサポートするためです。
現在、日本の消費はかなり落ち込んでいますので、
こうした海外からの紙幣が入り込む事で、日本の経済がよくなる可能性があり、経済界でも注目されています。
日本人も、海外に行ったら免税店でブランド品を買いあさりますよね。
(私は多分しませんが・・・)
日本国内で買うよりも、何割も安くなるから買う人が多いのです。
逆に言うと、それだけ関税が高いといえます。
関税撤廃で、海外からの爆買が倍増する?
ですが、今日本に買い物に来ている人は、ほんの一部の富裕層(お金持ち)だけといえます。
中国の人が全員日本に買い物に来ているわけではありません。
もし、工業製品にかかる関税が撤廃されれば、海外から買い付ける人や輸入業者が増えるのは間違いありません。
もっと多くの人が日本の製品を買うのは目に見えています。
日本からの輸出が増えると、日本の経済が持ち直す可能性があると期待されています。
自動車業界は関税撤廃でお得に!海外への輸出が多くなる
自動車業界は、関税が大きく減りますので多くの業者がTPPを歓迎しています。
- アメリカへ「完成車・自動車部品」を輸出する時にかかる関税2.5%
- カナダへ「完成車」を輸出する時にかかる関税6.1%
※完成車とは、組み立てが終わった段階で納品できる状態をいいます。
- アメリカへの輸出関税は、即時撤廃
- カナダの関税は、15年目から少しずつ減らし、25年目には完全撤廃になります。
車の関税は、最大6%程度ですが、もともと値段が高い商品ですので大きな差ができてしまいます。
関税が完全に撤廃されることで、性能が良い日本車が流通する事は間違いありません。
まとめ:TPPが傷みわけといわれる理由
今回のTPPで私たちの暮らしは、「より良くなる可能性がある」という事です。
海外製品が安くなったり、輸出に関係する業者の業績が上がります。
しかし、一部の人には打撃があります。
これがTPP交渉が、傷みわけ政策といわれる所以です。
一部の産業は衰退するけれど、一部の産業には大きなメリットが生まれ日本の経済はより良い方向へ向かうことを目的としています。
今後日本政府はその人たちを、どのように救済するのかが、焦点になってきます。