減税率と計算機

2017年4月消費税が2%増税になります。ついに大台10%です。

ですが、食料品は軽減税率を導入する事になり、食品のほとんどが消費税8%に据え置かれる事になりました。

ちょっと嬉しいニュースですね。
今まで食費を削ってきた人も、肩の力が抜けたのではないでしょうか?

 

しかしこの決定には、長い時間がかかりました。
それまでは生鮮食品だけを、軽減率の対象にしかったためです。

なぜなら、加工食品を入れてしまうと、税収がそのまま減少してしまうからです。
加工食品を軽減税率に入れてしまうと、年間約1兆円の減収になってしまいます。

軽減率をあまりにも拡大しすぎると、増税の効果が薄くなってしまいます。
折角増税に踏み切ったのに、「必要なところに税金が回せない」という事に陥ってしまいます。

一つの税収が少なくなったら、他の税収を増やす必要が出てしまいます。
結局は、何らかの形で財政の穴埋めが生じる可能性があるのです。

 

しかし今回決まったように、生鮮食品と加工食品を軽減税率の対象にしました。

税収が減ってもいいほど、大きな理由があったといえます。

一番大きかった理由が、生鮮食品と加工食品のカテゴリの区別・線引きといえます。

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現状の法律では、加工と生鮮の区別が分かり難い

もちろん「消費者に分かりやすいようにしたい」という考えもあります。

例えば、採ったままの丸い皮付きみかんは生鮮食品なのに、
フルーツの盛り合わせになると加工食品です。

刺身でもそうです。

メバチマグロと、インドマグロの刺身盛り合わせは、「生鮮食品」です。
しかしこの盛り合わせに、イカの刺身が入れば「加工食品」です。

・・・私たち消費者には分かり難い分類ですね。

補足:JAS法における生鮮食品と加工食品の線引き目安
生の食品(生鮮)でも、違う種類の物(魚や野菜)が含まれたり、乾燥させると加工食品という分類にJAS法で定められています。

  • 異種混合
  • 乾燥

上記に該当すると、加工食品に位置づけられます。

参照:製造・加工等の定義について 農林水産省より
http://www.maff.go.jp/j/jas/kaigi/pdf/kyodo_no2_shiryo_2.pdf

なぜ、このような私たちにとっては、曖昧に思える線引きを行っているのでしょうか?

日本政府が生鮮と加工を区別する基準は、食衛法とJAS法

そもそも生鮮と加工の線引きは、適当にやっているわけではありません。
食品の表示に関わる法律である「食品衛生法」と「JAS法」で分けられているのです。

なぜ2つの法律があるのかというと、管轄や内容が異なるためです。

食衛法とは?
食品衛生法のことです。(厚生労働省が管轄)

夏と冬に、度々起こる食中毒事故。
これらを管轄するのが食品衛生法です。

食中毒や安全性の確保だけでなく、添加物など表示に関する法律でもあります。

JAS法とは?
農林物資の規格化法の事です。(農林水産省が管轄)

正式な名称は、農林物資の規格化等に関する法律

Japanese Agricultural Standard(直訳:日本の畜産農産物における評価)

このようなマークを見た事はありませんか?

JASマーク
出典:JAS法について 農林水産より http://www.maff.go.jp/j/jas/pdf/pamph_a.pdf

「国が定めた一定基準の品質を保っている」と認定された商品に付けらています。
以前多かった、産地偽造などはJAS法の罰則対象になります。

この2つの法律が、加工食品と生鮮食品の区別がしにくい現状を作り出しています。

 

食衛法では加工食品なのに、JAS法では生鮮食品?

食衛法とJAS法は、一見するとまったく別物のように見えます。
しかし、実はこの二つの法律がまったく異なる分類を示している食品があるのです。

例えば、塩干・塩蔵魚介類(軽度の撒塩、合塩等をしたもの)。
これらは食衛法では「生鮮食品」に分類されている商品です。

しかし、JAS法では「加工食品」に分類されています。

 

もう少し分かりやすい例で言いますと、

「食肉」は加工食品だと思いますか?それとも生鮮食品?

ほとんどの方は、生鮮食品だと答えるかもしれません。
長くスーパーで働いた事があるわたしも、生鮮だと思っていました。

ですが、実は加工食品にもあたるという事が分かりました。

食肉の定義:食衛法「加工」、JAS法「生鮮」

食品衛生法では、「処理場において加工したもの」なので、
加工食品の分類になっています。

しかしJAS法では、生鮮食品です。
肉類(単に切断、薄切りしたもの並びに単に冷蔵及び冷凍したものを含む。)

 

生かきの定義:食衛法「加工」、JAS法「生鮮」

食品衛生法では、「食肉及び生かきについては、その処理工程が製造よりもむしろ加工とされる」為、加工食品の分類に属します。

一方、JAS法では「水産物(むき身、単に冷凍したもの及び解凍したもの並びに生き
たものを含む。)」なので生鮮です。

このように2つの法律が、まったく正反対の部門に位置づけているわけです。
その為、議論している政治家の皆さんも、線引きが出来ないと判断したのではないでしょうか?

 

外食の区別は今後どうなるのか?

今注目されているのが、前述した加工食品と外食の線引きです。
外食の定義は、「対面販売に該当するのでは?」という声があるようです。

想像してみてください。

レストランに行くと、店員(ウエイター、ウエイトレス)がオーダーを受けますね。
その時に、料理(商品)の説明をされたり、質問をするでしょう?

これが、スーパーなどの量り売りやアイスクリーム屋さんと同じ対面販売だというのです。

だとすれば、食品売り場の惣菜コーナーは、外食になるのでは?という事です。

これって、私たち消費者にとっても、判断が難しいですよね。

 

特に店内の飲食コーナーは定義が分かれる

例え:31アイスクリーム
これはアイスですので加工食品のように思えます。

でも対面販売ですよね。では外食?

テイクアウト(お持ち帰り)しているので、加工食品の傾向が強いかもしれません。

  • マックのハンバーガーは?
  • ドトールのコーヒーは?
  • ピザの配達は?
  • 手作りパンの店内食は?

と、基準が明確ではありません。

 

不公平感がない線引きが一番判断が難しい

消費者目線の8%と10%は大きいです。
同じような業態なのに、あっちは消費税が8%、こっちは10%となってしまうと安い税率の方が得する気がします。

これでは、不公平感が出てしまいます。
「軽減税が原因で廃業が多くなった。」となると、法人税の減収が加速してしまうでしょう。

 

今ここでもめているわけです。

今後、消費者に分かりやすくするにはどうすればいいのか?
だけでなく、業者への負担や不公平感もなくさないといけません。

2017年まであと1年あるといっても、そう簡単に結論が出る問題ではなさそうです。