2016年4月から「電力小売販売自由化」が本格的にスタートします。
電力小売販売自由化とは、いわゆる乗り換え自由な電気事業のスタートといえます。
自由化といっても、電気会社を変更することは義務ではありません。
「電力会社を変えるのか?」それとも「そのまま今の電力会社にする」のかは、その人次第といえます。
電力小売販売自由化って何?
漢字だらけで小難しい印象がある制度ですが、中身はいたってシンプルです。
docomoやソフトバンクなどの「携帯会社」や、NTTをはじめとする「固定電話」をイメージすると、わかりやすいかもしれません。
携帯会社であれば、月額料金6000円のプランがあるドコモがありますが、月額1000円からの格安スマホ(MVNO)もあります。
数ある料金やサービスから、”あなた自身が最適なプランを選んでいる”はずです。
このように各社が提供している「生活スタイルに合った様々なプラン」「安いプラン」を選ぶことができるようになります。
- 電気をほとんど使わないような「独身サラリーマン向けプラン」
- 昼間は休日のみ、夜間によく電気を使う「ファミリー世帯向けプラン」
- 還元重視の「ポイント付きプラン」
- ほかのサービスとセットにした「割引プラン」
- 契約期間を定める「年間契約プラン」
など、ご家庭に合わせて選べることが想定されます。
今後は、一気に50社以上増えるため、価格競争が発生すると考えられます。
今あなたが支払っている電気料金よりも、安い契約を探すことができるようになるのです。
まとめますと、
- 電力会社が固定されていた(北海道電力や九州電力など)
- 選べるプランが少なかった
- 電力会社を自由に選べる(異業者から50社以上が参入)
- 選べるプランが格段に増える
なかったため、このようなサービスが選べてもお得度が低いケースも少なくありませんでした。
電気料金はどれだけ安くなる?
いま契約している九州電力では月額6,575円に対して、B社なら月額6,521円になるとすれば、毎月の電気料金が54円安くなります。
1年間で考えると、648円の節約ができるようになります。
ここに挙げたのはほんの一例です。
他にも電気会社はありますので、選べる選択肢は増えるかと思われます。
ただし、必ずしも安くなるとは言えません。
必ず安くなるとは”限らない”理由とは?
まず、「電気の価格では一定ではない」ということを念頭に入れましょう。
2016年1月と2月の電力大手各社は電気料金を値下げしました。
2月の値下げ幅は大きく40~104円という報道がありました。
原油価格の下落による燃料価格が安くなった為です。
今後は3月以降もさらに安くなるという試算もあり、2015年に支払った電気料金よりも下回る可能性もあります。
※現在ほとんどのご家庭が契約している電力10社は、火力発電(原料:化石燃料)が中心だからです。(稼働していない原発が多いため)
今回のように、原油の価格で電気料金も上下する可能性があるため、必ずしも電力会社の乗り換え(変更)が将来安くなるとは言えないのです。
逆に新規の会社は、自然エネルギー(太陽光や風力・水力など)が多いため、料金は天候に左右されるといえます。
今後原油の値段が高くなれば、それに合わせて電気料金も値上げされるからです。
比較した当初は安くなるとなっても、変動して実は高くなっていたということはその年の終わりにしかわからない部分もあるのです。
そういった点では、今すぐ変える必要があるとも言えないのです。
電気使用量に比例して安くなる会社が多い
また、逆にそのままでもお得なのかはわかりません。
各社で共通するのは、電気の使用量に比例して料金が安くなる傾向があるためです。
独身世帯で電気消費量が少ないご家庭とファミリー世帯で電気使用量が高い世帯では割引率に違いが出てくるためです。
”安くなる条件”を確認することが大切
また、ご自宅に太陽光を設置して「電気をほとんど買う必要がない世帯」や「長期的な契約ができない転勤予定のある方」などは安くならない可能性が高いといえます。
なぜなら、電気会社各社は”長期契約を前提に”安くしていることが多いからです。
これらの条件を満たすことができるのかをあらかじめ考える必要があります。
例えば、1~2年毎に引っ越しをする会社にお勤めなら、2年間の契約はしないことです。
もし、期限が来る前に解約すれば、手数料が発生してしまうからです。
携帯業界では、こういった細部のことを説明しない販売員も問題になっています。
今後は、電力小売りでも起こりそうな問題といえるでしょう。
オール電化住宅なら電力販売自由化との費用対効果がバツグン
電力自由化で真っ先に乗り換えを検討したいのが、「オール電化住宅」です。
エアコンやキッチン・浴室だけでなく、床暖房なども搭載している住宅での費用対効果はものすごくいいといえます。
今後は、電気自動車に切り替える予定のご家族がいらっしゃるかもしれません。
そんな電気の消費量が多いご家庭であれば、まずはコストパフォーマンスを考えて比較をするべきです。
今後はこのようなオール電化住宅とセットで売られるケースも考えられます。
逆にそんなに電気を使わず、ガスを使っているご家庭は、翌年2017年からのガス小売自由化を待ってもいいでしょう。
(電気とセットで販売される予定があるため、わざわざオール電化にする必要はありません。)
さまざまな販売方法(商法)に惑わされない
1216年4月1日。電力自由化が始まると、あらゆるところで電力販売の勧誘が始まります。
ガソリンスタンドやショッピングモールだけでなく、インターネット上でもあるでしょう。
あるガソリンスタンドでは「電気とセットで契約すると、ガソリンの給油が1リットル当たり10円安くなる」というセールスが出てくるでしょう。(セット割商法)
とあるショッピングモールでは、「お買い物で使えるポイントを数千ポイント贈呈」というセールスもあるかもしれません。(プレゼント商法)
その場で契約せずに”本当に安いのかを確かめる”必要があるのです。
また解約には違約金が発生する可能性もあります。
その場でうっかり契約してしまい、後日取り消しをしようとしたらクーリングオフ対象外だったということもあり得ます。
そういった点において、不利にならないように契約書を細部まで確認することが大切です。
総務省が定めている以下の「契約する際の注意事項」は確認しましょう。
- サービスの内容、料金等を、契約締結前によく確認。契約締結時に交付された書面をしっかりと保存しましょう。
- 契約内容等、サービス内容の不明点があった時のために、契約の相手方及び問合せ窓口を確認するようにしましょう。
- 基本料金など、一定期間の契約継続を前提に料金が割引になる場合、途中で契約を解除すると違約金が発生することがあります。
- また、一定期間終了後も、更新拒絶の意思表示が無い場合、自動更新されることがあります。
- 見た目の安さで判断せず、利用目的に合った料金プランを選択するよう、サービス内容の説明を受けたり、カタログやホームページで十分に確認しましょう。
- 電気通信事業者によっては、希望者に対し、契約解除期間をお知らせしている場合もあるので、電気通信事業者に相談しましょう。
- オプションサービスに加入したり、他のサービスとセットで加入すると利用料金が割引される場合は、割引条件や加入したオプション等の内容を確認しましょう。
- 加入したオプションサービス等が不要となった場合は利用者自身による解約が必要となる場合があります。加入したオプションサービス等を把握するとともに、不要となった場合の解約方法についても確認をしましょう。
引用:総務省|電気通信サービスで勧誘や契約時の説明等に関するQ&A
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/d_faq/faq02.html
訪問販売の”抱き合わせ商法”や”訪問販売”には注意
また、他のサービスの契約を前提にした割引契約(セット割など)には注意が必要です。
あたかも「電気代が安くなる」と称し、「不要な高額サービスと電気契約」をさせる手口が予想されます。
確かに電気代は割引されるかもしれませんが、サービスの支払い料金を合わせて計算すると損をすることも考えられます。
(使わないサービスならなおさら)
このような商法は昔からあるため、今回の制度に便乗して被害が増えると予想されています。
ご年配の一人暮らしへのセールスには注意をしたいところです。