北海道では、毎年ヒグマによる農作物の被害が拡大しています。
最近では、野生のクマも人里に下りてくるようになり、偶然遭遇することも多くなっているようです。
毎年冬眠前の秋、もしくは冬眠から覚めた春になると、北海道では各地でヒグマ出現が多くなり注意報が発令するほどです。
最近のヒグマは、400kgの大物が多くなり、道内では襲われると大怪我をする可能性があるとして、注意警告を行っています。
特に冬眠から目覚めた春のクマは、お腹が減っているので襲われる傾向が高いようです。
観光で行く際には気をつけたいところです。
ヒグマによる農作物の被害、東京ドームのおよそ15倍に
毎年ヒグマによる農地の被害総額は、360万円に上るとのことです。
ヒグマが食べられている農地の広さは70ヘクタール(ha)。
東京ドームのおよそ15倍の広さが被害にあっています。
世界最小国のバチカン市国は、44ヘクタールに広さしかありませんので小国1.5国分食べられている計算になります。
北海道の農地全体の面積は15万3,000haですので、0.05%の農地がヒグマに荒らされている事になります。
栄養豊富な農地の作物によりヒグマが肥大化
今までの野生のクマは、主に自然に出来る木の実や果物が主食でした。
自然の作物は、人が食べている農作物よりも、低カロリーです。
ヒグマも大きくは育たない傾向にありました。
猟師の間でも、せいぜい300kg級のヒグマが大きいといわれていたのです。
1.5倍近く大きくなった400kg級になると、しとめるのも苦労するとの事です。
人を恐れないヒグマ急増中
なぜ、ここまで多くの農地が食べられているのでしょうか?
その理由としては、人に対して警戒心が低い、野生のクマが多くなった事にあります。
北海道では開発が進み、人の手がドンドン進行しています。
山奥に人が入り込むようになると、動物達の住処が少なくなります。
その結果、人の目に触れる事が多くなったり、人里に降りてしまうことにつながります。
恐れない原因は人の手、エサやり禁止条例も
観光客の中にはゴミを捨てたり、エサ付けをしようとする人も中にはいらっしゃいます。人が出すゴミには、食べ物の残骸も多く、味を覚えてしまう動物もいます。
そうなると、ゴミ捨て場がある「民家が多い場所」に入ってくる動物達も多いのです。
ヒグマの増加は、人の手によるものが大きいという事です。
年々冬眠時期が短くなり、肥大化するヒグマ達
ヒグマの被害が大きくなっている理由として、温暖化による気温上昇があります。
「冬眠に入る時期」から「冬眠から目覚める時期」の期間が短くなっている事にあるようです。
秋、冬眠に入時期が遅くなった分、食べる量が大きくなり。
春、早く冬眠から目覚めた熊が多くなり、食べる量も増えたとの事です。
その為、肥大化するヒグマが多くなり、400kgという大物が増えていると報告があります。
これからは、巨大化した熊が多くなると予想されます。
道産子が語る「熊に出会わないため」の4つの予防対策
北海道民には、熊にあったときの対応マニュアルが古くからあります。
道産子は、昔から山菜採りや釣りが当たり前です。
民家付近でクマを目撃するなど、遭遇率が高いため、小さい頃からしっかりと教育されています。
道内で言い伝えられているクマ対策を5つご紹介します。
その1、夕方から朝は山に入らない
クマは夜行性ですので、昼間は寝ています。
日が落ちてから活発に活動しますので、夜間は山での行動を極力控えることが大切です。
これは多くの道産子が注意をしている事です。
もし夜に、山へ行く時は複数の人数で行動するなど、クマが寄り付かないようにしましょう。
また移動中に、クマを発見・遭遇してもライトなどの光を向けないようにしましょう。
襲われる危険性が高まります。
その2、常に周りを警戒し、クマを発見しても騒がない
クマの遭遇に慣れていない他県の人は、山で野生のクマを見ただけで騒ぐ人も多いです。
中にはパニックになる方も珍しくなく、慌てて逃げる人も多いようです。
しかし、クマも臆病な動物です。
人を発見したからといって、いきなり襲い掛かるわけではありません。
何もしなければ、離れていく事がほとんどです。
常に周りを警戒し、たとえ近くにいたとしても、ゆっくり離れていきましょう。
クマの習性として、逃げるものを見つけると追いかける性質があります。
急がずゆっくりと、背を向けずに車内や屋内に避難する事です。
その3、ラジオやクマよけの鈴を持ち歩く
野生のクマは、騒がしい場所には近づこうとはしません。
民家に出現したり、人に遭遇する事はありますが、それは偶然か、不可抗力といってもいいでしょう。
自然に入る時も同じように、音が出るものを持っていくとクマもが寄り付きにくくなります。
クマよけの鈴は事前に準備する
クマよけの鈴は、全国のアウトドア専門店で手に入ります。
鈴は現地調達も出来ますが、シーズン中は人気が高く売り切れる可能性もありますので、出来る限り出発前に準備をしておきましょう。
その4、子供のクマを見たらすぐに立ち去る
小さいクマがいる近くには、必ずといっていいほど母親クマがいます。
子供がいる親クマは、守ろうとするため「警戒心が高く」「凶暴性が増して」いますので速やかに立ち去りましょう。
小さいからと写真を撮ったり、触れようとして、気を緩めた瞬間に噛み付かれたり、ひっかれるケースもあるようです。
もしクマに襲われたら
クマは、様々な病原体やウイルスを持っている可能性もあります。
もし、このような被害を受けたら直ちに病院へ受診しなくてはいけません。
極力近づかないようにしましょう。
以上、クマに関する情報でした。