診療報酬とは、いわゆる病院や薬の使用に支払われる報酬です。
そこからお医者さんに支払われる報酬(技術料)も決まってきます。
しかし、2017年の消費税増税により、薬や医療機器の価格が上がります。
お医者さんや看護師さんの手取りが削られたり、減少すると予想されます。
2016年の診療報酬改定では、高額の医薬品に限りますが厚生省が値段を下げることで、お医者さんの取り分を増やせるようにするとのことです。
それが高額医薬品の50%値下げです。
対象の医薬品は年間の販売額が1千億円以上であり、1千500億円以上売れている医薬品は最大で50%引きにするようです。
これにより、国が支払っている保険料を年間200億円節約できる見込みのようです。(保険証で支払っている部分)
ただし、消費税の軽減税率と違い私たちの支払いが大幅に変わることはありません。
あくまでも、お医者さんの手取りを増やすことが優先との事です。(保険の支払い削減もありますが)
しかし、あなたが払っている保険(国民保険、社会保険)の使われ方に大きく影響しますので関係ないとはいえないのです。
また、入院する時に誰もが利用する可能性がある「高額療養費制度」にも関係しますので、知っておいても損はしまぜん。
お医者さんの手取りを増やすためとはいえ、なぜそんな簡単に国が薬の値段を下げることができるのでしょうか?
薬の値段(薬価)は国が管理している
日本で販売されている薬の値段は、厚生労働省によって決められています。(公定価格)
これは、国が管理することで適正な価格にするためです。
例えば、同じような製法で作られた薬でも、片方がより成果が高い効果があると判断されれば、国が価格を調整して値上げします。
逆に、効果が低い判断されれば、安く調整する事もあります。
これは、原材料費や設備投資費用が同じでもです。
この薬価変更は、2年ごとに行われる診療報酬改定の時期に毎回決定されます。
その為、日本政府が薬の値段を操作することは可能なのです。
年々減少するお医者さんの手取り
なぜ、こういった政策をしているのかというと、度重なる診療報酬改定で現場の手取りが減り続けているからです。
診療報酬は、2年に一度改定され値上げされ国民の負担は増加傾向にあります。
しかし、病院側の施設設備や経費なども増えています。
その影響でお医者さんの手取りは徐々に減っている現状があり、医師を目指す人も減りつつあるといわれています。
しかも今後は、少子高齢化が進むにつれ、保険料の収入は減るためますます厳しくなるといえます。
なせ高額医薬品が下がると国保の負担が減るのか?
それは、医療費の自己負担上限である高額療養費制度の仕組みにあります。
高額療養費制度とは、一ヶ月にかかった治療費が一定金額を超えた場合、あなたが支払う金額に上限を設けることです。
上限以上の支払いは、国民保険(社会保険)から出されることになります。
表にあるように、あなたの手取りが月額26万円であれば、医療費の自己負担限度額が最大で57,600円になっています。(これは窓口であなたが支払う金額です)
仮に、保険証を使っても窓口の支払いが10万円になった場合、あなたは57,600円を支払うだけでいいのです。
残りの42,400円は国が負担してくれます。(この制度を受けるには、限度額適用認定証が必要です。)
※右端の多数該当とは、高額療養費制度を年度内に4回目以上利用する時の自己負担金額です。
(4回目以降の支払いは、右端の金額になります。)
その為、高額治療で使われる薬品の価格を抑えることが、国の負担が減ることにつながるのです。