ントリオール議定書2016を漫画で説明

モントリオール議定書が2016年10月16日に改訂され、
世界中の国々で『代替フロン(HCFCやHFC)の規制強化』に取り組むことになりました。

今回のモントリオール議定書(ルワンダ共和国)で決定された内容

  • 先進国(日本を含む):2036年までに85%減
  • 途上国(中国など):2045年までに80%減
  • 中東諸国・インド・パキスタン:47年までに85%減

現在の日本における代替フロン排出量は現状「約6000万トン」となっています。
20年後の2036年までに85%も削減できるのでしょうか?

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「代替フロン」って何?フロンガスと違うの?

生徒疑問

代替フロンって何だろ?

先生指

代替フロン(読み:だいたいふろん)は、
オゾン層を破壊する「フロンガス(特定フロン)」の代わりに使っていたガスのことよ。

生徒納得

フロンガスの代わりということは、
地球にやさしいガスなんだね。

先生「実は」

昔はそう言われていたの・・・。
そしていろんな製品や工場で使われるようになったのよ。

先生息

でも研究が進むうちに、実際は「地球にやさしくないガス」だとわかったのよ・・・

オゾン層は関係なくなったけれど、代わりに地球温暖化になりやすい「温室効果ガス」だったの・・・

生徒驚

「代替フロン」もよくないガスなの?
じゃあどうするの?

「代替フロン」は温室効果ガス 二酸化炭素(CO2)の数百倍も”強力”

代替フロンは、オゾン層を破壊する「特定フロンガス」に変わるとされ、世界中で使われるようになったガスです。(特定フロンガスの生産は、1995年頃に中止になりました。)

しかし、代替フロンは地球の温暖化を進めてしまう「強い温室効果ガス」だったのです。

研究が進むにつれ、代替フロンの温室効果は二酸化炭素(CO2)の数百~1万倍以上になるとわかり、こちらも世界中で生産が中止になりつつあります。

生徒驚

え?代替フロンって
二酸化炭素より百倍も早く温暖化が進むんだ・・・恐いな。

代替フロン2種類のうち、「HCFC」は2020年まで生産される

代替フロンは2種類ありますが、2020年までには製造が中止される予定です。

  • クロロフルオロカーボン(CFC)・・・製造中止
  • ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)・・・2020年までに全廃予定(モントリオール議定書)

しかし、ガスの製造を中止しても、使われている製品はまだまだあります。
排出量は増加し続ける可能性が十分にあります。

そのため、排出量を削減するために「ガスの回収」を製造した会社に義務付けています。

代替フロンって何に使われているの?

生徒疑問

ところで、フロンガスってどんな物に入っているの?

先生息

昔はいろんな商品に使われていたわ。

例えば、スプレーがいい例ね。
ヘアスプレーみたいにみんなが普段の生活で使っている商品に入っていたの。

代替フロンガスが使われている身の回りにある製品
出典:経済産業省資料よりhttp://www.meti.go.jp/policy/chemical_management/ozone/files/pamplet/ozone/H19ozon_07brochure.pdf

代替フロン「ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)」は、私たちの生活でもよく使われています。

特定フロンガス、代替フロンガスの過去における使われ方

たとえば、「ヘアスプレーのように噴出するガスを使う製品」や「冷やすための冷蔵庫など」に多く使われていたのです。

フロンガスの使われ方 主な製品
冷媒 エアコンやカーエアコン、冷蔵庫のなど
スプレー エアダスター(ほこりを飛ばす)、ヘアスプレー
発泡剤 ゴムやプラスチック、消火器
住宅資材 断熱材、輸入木材・植物の消毒
洗浄剤 携帯電話・パソコンなどの精密機器
土壌くん蒸剤
(臭化メチル)
田畑の消毒(病原菌、線虫、ウイルスの除去)

※発泡剤とは、ゴムやプラスチックを加工するときに使う配合剤のことです。
分解するときに、さまざまなガス(窒素ガス・炭酸ガス・一酸化炭素、アンモニアガス、水素など)が発生します。

代替フロンから「ノンフロンガス」に

こうした「代替フロンガスを使った製品」は、現在ではノンフロンガスに置き換わるようになってきています。

たとえば、二酸化炭素などのガスに変わってきています。

ノンフロンとして使われているガス
冷媒 炭化水素、水発泡、真空断熱材
スプレー LPGガス、DME(ジメチルエーテル)
発泡剤 アルゴン(AR)、窒素ガス(N2)
住宅資材 フッ素ガス、二酸化炭素(CO2)
洗浄剤 水、炭化水素、フッ化カルボニル
土壌くん蒸剤 ナトリウム、アンモニウム、クロルピクリン

しかし、一部の古い製品には代替フロンがまだまだ使われている可能性もあるようです。

スプレーなどを買う時チェックしてみてください。

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フロンガスの排出量を減らす日本国内の取り組み

生徒疑問

日本では代替フロンガスをどうやって減らすつもりなんだろう?

先生「実は」

今まで日本は、法律を作りながら(特定)フロンガスを減らしてきたのよ。

  1. オゾン層保護法(1988年5月)

    国際的に協力して、オゾン層を破壊する物質の製造の規制並びに排出の抑制及び使用の合理化に関する法律

  2. CFCガス規制(1989年5月)

    CFC(特定フロンガス)の製造と使用を規制→2010年末までに全廃した。

  3. ハロンガス規制(1992年1月)

    主に消火設備に使われていたハロンガスは2010年に生産を全廃したものの、今もなおリサイクルされ特定の施設にハロン消火設備として使われている。

  4. 四塩化炭素、臭化メチル規制(1996年1月)

    四塩化炭素は、1996年までに先進国で全廃。途上国では使われている。
    臭化メチルの生産・消費は2005年に全廃

  5. 家電リサイクル法(1998年10月)

    廃家電製品に含まれる「鉄」「アルミ」「ガラス」「レアメタル」などの資源を再利用し、再商品化を推進するために定められた法律。(フロンガスなども回収することを義務付け)
    小売業者による引取り及び製造業者等(製造業者、輸入業者)による再商品化等(リサイクル)が義務付けられました。
    家電4品目(エアコン、テレビ、冷蔵・冷凍庫、洗濯・乾燥機)を廃棄する際、収集運搬料金とリサイクル料金を支払う必要があります。

  6. フロン回収破壊法(2001年6月)

    フロン類の大気中への放出を抑制するため、3種類のフロン類を対象とし、フロン類を大気中にみだりに放出することの禁止、機器の廃棄の際のフロン類の回収・破壊を義務づけた。
    メーカーにはフロン類の引渡しを書面で報告、機器整備時のガスを回収する義務があります。

  7. 自動車リサイクル法(2005年1月)

    クルマの所有者がリサイクル料金の支払い、自治体に登録された引取業者への廃車の引渡すことを義務化。
    さらに、フロン類回収業者、解体業者、破砕業者が適正に処理することも義務化した。

  8. 現在に至る(今後も法律ができるかも?)

家電・自動車リサイクル法における「フロンガスの回収」

生徒疑問

家電リサイクル法って、フロンガスの回収が目的でしたっけ?

先生指

いいえ違うわ。
使える部品や材料を再利用して、ごみを減らすのが目的よ。

家電リサイクル法とは
一般家庭や事務所から排出された家電製品(エアコン、テレビ(ブラウン管、液晶・プラズマ)、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機)から、有用な部分や材料をリサイクルし、廃棄物を減量するとともに、資源の有効利用を推進するための法律です。

先生息

リサイクル法がなかった時代は、不法投棄をする回収業者もいたの。
そうすると、錆びて壊れてどんどんガスが放出されてたみたい。

先生笑

フロンガスが使われている「冷蔵庫や車」が壊れたり解体すると、ガスが出てしまうでしょ?

そのガスが空気中に放出しないように、メーカーや製造元がしっかりと回収させる法律でもあるの。

回収したフロンガスってどうするの?

回収したフロンガス(特定・代替問わず)は、業者が破壊します。
フロンガスの破壊方法は、主に3種類あります。

  • ロータリーキルン法
    焼却炉のロータリーキルン(円筒回転炉)を用いた破壊処理。
  • セメントキルン法
    セメント製造設備で破壊。
  • 既存の焼却炉利用
    廃棄物焼却炉(都市ごみ直接溶融炉や固定床二段階焼却炉など)で破壊。

適切な処置(破壊)をしなかったり放出してしまった場合、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金刑がありますので、信頼できる指定業者に頼む必要があります。