コーラの砂糖減

ペプシコーラの販売元である「ペプシコ社」は、飲料に含むカロリーの量を2025年までに約1/3に減らすと発表しました。

  • 2016年現在のペプシコーラのカロリー:350ml缶150kcal
  • 2025年までに:350ml当たり100kcalに減らす

その背景として、WHO(世界保健機関)世界的に広めている「砂糖課税」にあります。

砂糖課税を導入している国 目安 課税額 導入時期
イギリス 100mlあたり5g(グラム)以上の糖分を含む飲料に 約6~8ペンス 2018年
フランス 砂糖入り飲料1リットル当たり 0.01ユーロ 11年
メキシコ 砂糖入り飲料1リットルに対し 1ペソ 14年
アメリカ
(カリフォルニア州)
砂糖入り飲料1オンス(約30ml=0.03リットル)あたり 1セント 15年

参照:産経ニュースhttp://www.sankei.com/premium/news/160512/prm1605120002-n1.html

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なぜWHOは「砂糖に税金」を推奨しているのか?

あなた自身も「砂糖を多く接種するのは健康にとってもよくない」ということはご存知だと思います。
学校教育の保健体育や家庭科で、そのような授業を受けている方が大半でしょう。

では、1日に食べたり飲んだりしてもいい「砂糖の量は何グラムまで」がいいのかご存知ですか?

WHOは「砂糖の量は1日25gまでが健康的」と発表

WHOが発表している「砂糖摂取量ガイドライン」によると、
健康的に過ごすための砂糖の量は、女性なら1日当たり約50g~25gと設定しています。

※幅があるのは正確には、「砂糖の量を1日のエネルギーの10%に抑える(5%以下ならさらに健康増進効果が期待できる)」と発表しているからです。

男女別で考えると、推定必要エネルギー(1日で消費するエネルギー)に対する砂糖の量はこのようになります。

男女別の推定必要エネルギーに対する砂糖の適量(20代~30代)
成人女性(2000kcal) 成人男性(2600kcal)
必要エネルギーの
10%以内に抑えるなら
砂糖50g
(4g角砂糖で例えると約12個)
砂糖65g
(4g角砂糖なら16個)
5%以内なら 砂糖25g
(角砂糖なら約6個)
砂糖32g
(4g角砂糖なら8個)

※例えに使っている角砂糖のサイズは1個4gで計算。砂糖のエネルギーは1gで約4kcalで計算。

WHOは、1日に取る砂糖の量がこの量を超えると、「肥満や成人病になりやすくなる」としているのです。

飲料水のカロリーは、ほぼ砂糖

コーラを含む飲料水のカロリーは、おおむね砂糖の量が関係しています。
よって、砂糖が入っている飲料に課税すれば、値段が高くなりますよね。

つまり、WHOには
『砂糖への税金を導入→砂糖入り飲料を買わなくなる→カロリー減が期待できる』
という考えがあるようです。

日本にはまだ砂糖課税はありませんが、このまま世界中に広がっていくと将来的には課税される可能性もあります。

そうなると、他の飲料メーカーも砂糖の量を徐々に減らしていく可能性が十分に考えられます。

さて、コーラに含まれる砂糖の量はどのくらいになるのでしょうか。

コーラのカロリーと砂糖の量はどのくらい?

各社公式ホームページを見てみると、各社コーラのカロリーと砂糖の量はこのようになっています。

エネルギー(100mlあたり) 炭水化物(100mlあたり)
ペプシコーラ 48kcal 11.9g
コカ・コーラ 45kcal 11.3g

補足:ペットボトル缶の成分表に砂糖の表示がない?
→「砂糖の量」は炭水化物の量に該当

そもそも砂糖の量はどの飲料メーカーも記載していません。

ペプシコーラ成分表
出典:ペプシコーラ 500mlペット 商品情報(カロリー・原材料) サントリー公式ホームページよりhttp://products.suntory.co.jp/d/4901777052444/
コカ・コーラ成分表
出典:日本コカ・コーラ | 製品情報 | コカ・コーラ: The Coca-Cola Companyより http://www.cocacola.co.jp/brands/coca-cola/cocacola

しかし、『炭水化物』の数字が砂糖の量に該当するという考えが主流のようですので、ここではそのように解説しています。

実際にカロリーゼロの成分表を見ると、炭水化物が0gということからもこの線が有力でしょう。

ペプシダイエットストロングの成分表
出典:ペプシストロング〈ゼロ〉 340ml缶 商品情報(カロリー・原材料) サントリーより http://products.suntory.co.jp/d/4901777292932/

500mlペットボトル、350ml缶にカロリーと砂糖の量を計算すると

また、この数値は100ml当たりですので実際に飲んでいる量ではありません。

ここから実際に私たちが飲んでいる「500mlペットボトル」、「350ml缶」はここから計算する必要があります。

それぞれ販売されているペットボトルと缶のカロリーと砂糖の量はどのくらいでしょうか?
換算してみしょう。

ペプシコーラ500mlは、カロリー「240kcal」砂糖の量「約55g」

会社 カロリー 砂糖の量
ペプシコーラ 500ml 240kcal 約59.5g
350ml 168kcal 約41.65g
コカ・コーラ 500ml 225kcal 約56.5g
350ml 157.5kcal 約39.55g

つまり、ペプシコーラ500mlペットボトルを1本飲むと「カロリー240kcal」と「砂糖59.5g」を同時にとってしまうということです。

これは、先ほどWHOが設定していた「健康的に過ごすための砂糖の量”1日当たり約50g~25g”(成人女性)」をオーバーしています。

350mlサイズ、カロリー「168kcal」砂糖「41.65g」

また、少なめの缶350mlサイズを飲んだとしても、ギリギリ必要エネルギーの10%を下回るだけですので、他の食事を考えると砂糖の量はオーバーしてしまいます。

これでは、将来糖尿病などの成人病になる可能性は高まると考えてもいいでしょう。

ついでに他の飲み物も調べてみました。

【コーラ以外の飲料】カロリーと砂糖の比較と多い理由

 

砂糖が多く使われている飲料ジュースは、コーラだけではありません。

カロリーゼロ、砂糖ゼロ以外のほとんどの商品にはたくさんの砂糖が使われているのです。
ここでは一部商品ですがカロリーと砂糖(炭水化物)の量をまとめてみました。

商品名 カロリー 炭水化物(砂糖)
c.c.レモン 40kcal 10.1g
デカビタC 54 13.5
三ツ矢サイダー 42 11
レッドブル 45.4 11
ポカリスエット 25 6.2
アクエリアス 19 4.7
午後の紅茶
ストレートティー
16 4
ミルクティー 37 7.8
ジョージア
オリジナルコーヒー
34 8
エメラルドマウンテン 37 6.8
ヤクルト400
※80mlで表示
62 14.4
野菜生活100オリジナル
(カゴメ)
32 7.4
明治ブルガリアのむヨーグルト
LB81プレーン
67 12.5
い・ろ・は・す みかん 17 4.3
い・ろ・は・す
スパークリングれもん
19 4.8

※各メーカーの公式ホームページから抜粋(2016年10月20日時点)

カロリーと砂糖量の比較表を見てわかったことをいくつか見てみましょう。

冷たい温度が「舌(ベロ)の味覚を鈍くしている」

飲料水の砂糖が多くなる理由には、舌の感覚が関係しています。
人の舌は「冷たい飲み物を飲むと、感覚が麻痺」をして、正常の甘さを感じないのです。

冬の寒い日に肌の感覚が鈍くなっているのと同じ原理です。

この現象(炭酸水)に対抗するために、砂糖を多くすることで甘さを感じるようにしています。

炭酸水は「コーヒーよりも砂糖が多い」理由は?

まず、コーヒーよりも炭酸水の方が砂糖が多いということです。

あなたは「缶コーヒーは結構甘い」と思った経験はありませんか?
私自身も、朝一番にのむインスタントコーヒーよりもかなり甘いと思っています。

最近では、コーヒーを自販機で買う時は「無糖タイプ」だけを選ぶようにしています。

苦いコーヒーが飲めない方も、「低糖」や「甘さ控えめ」を買う方も多いのではないでしょうか?

しかし比較表で見ると、炭酸水の方がコーヒーよりも砂糖が多く使われているのがわかります。

それには理由があるからです。

炭酸飲料水は砂糖を入れないと飲みにくい

炭酸水(ソーダ水)とは、水に炭酸ガスを入れて圧縮して作られただけの水です。

炭酸水をそのまま飲むと、味もありません。
カルピスのソーダ割など、炭酸水は何かの原液を割って飲むための水だからです。

あなた自身、炭酸水だけを飲んだことはないはずです。
実際に飲むと、シュワシュワ感があるものの、かなり違和感があるかもしれません。

人によっては、炭酸水の刺激で苦く感じることもあるようです。

昔はブームがありましたが、最近では「炭酸水だけを好んで買う」という方も少ないため、コンビニや自動販売機では販売していません。
スーパーなどの片隅にひっそりと置いてあります。

※近頃は炭酸水がダイエットや美肌に注目されているようですので、人気はあるようです。

そこでコーラなどの炭酸飲料水では、炭酸水に甘味料(味・フレーバー)を入れ、
さらに砂糖を加えることで甘く飲みやすい飲み物として作られているのです。

ヤクルトや野菜ジュース、飲むヨーグルトはカロリーが高め

現代社会は、健康志向が高まっていますので、健康的な飲む物を好む人が増えています。

乳酸菌であれば、ヤクルトや飲むヨーグルトなどが人気ですし、野菜ジュースなども人気です。
さらに豆乳などもありますね。

これらは、「野菜」や「ヨーグルト」が苦手な人、小さな子供でも飲みやすいように工夫されています。

「苦い」を「甘く」するため砂糖がたくさん

ご家庭でジューサーを使ったことがある方はご存知かもしれませんが、
野菜やヨーグルト、豆乳は、そのままでも飲めますがとても苦いですよね。

「野菜」や「ヨーグルト」が苦手出なき人も、原液を飲むことは苦痛を伴うことがあります。
(青汁ほどではありませんが・・・)

砂糖を多く使ってジュース感覚で飲めるようにしているのです。

そのため、普通のジュースよりも甘くなっています。
これは100%オレンジジュースなども同じです。

酸っぱくて食べれないオレンジを甘く仕立ててジュースにしているのです。

そのため、健康志向の人でも「野菜ジュース」や「飲むヨーグルト」を毎日飲んでいれば、知らず知らずのうちに糖分の摂取量を超えていることがあるのです。

※「カロリー」「糖分」控えめの商品を選ぶことで抑えることもできます。

砂糖の代わりに「人工甘味料」は安全なのか?

ペプシコは「砂糖を減らす」と宣言しましたが具体的には、甘みを抑えるという宣言はしていません。

甘みを減らすとおいしいと感じなくなる可能性があるからです。
砂糖は減らしますが、甘みは人工甘味料で補うと予想されています。

ペプシストロング〈ゼロ〉では、人工甘味料は4つも使われています。

  1. アスパルテーム・L-フェニルアラニン化合物
  2. アセスルファムK
  3. ステビア
  4. スクラロース

アスパルテーム・L-フェニルアラニン化合物:砂糖の200倍も甘い

日本の「味の素」が特許を持っている人工甘味料です。

厚生大臣により食品添加物に指定されていますので、比較的厳しい検査をクリアして安全と考えられています。
ただし、長期間使用した実験が行われたわけではありませんので、信頼性には欠けるかもしれません。

ただ、対外に排出されやすい成分ということで、人体への影響は少ないと考えられています。

アセスルファムK:ショ糖の200倍も甘い

アセスルファムK(正式名称:アセスルファムカリウム)は、ドイツ人化学者によって発見されました。

日本でも2000年に食品添加物として認可、2008年には医薬品添加物(薬を作る時に入れる成分)としても使われています。

アセスルファムKは、アスパルテームを同じ量入れると甘味度が40%強化されるという性質を持っています。
そのため、アスパルテームと併用して使われることが多いです。

参照:アセスルファムカリウム – Wikipediaより

ステビア:ショ糖の300倍も甘い

ステビアは「キク科(多年草)の一種」で、マテ茶などの原料でハーブとしても人気です。
日本では、1971年から甘味料として使われています。

ショ糖よりも300倍もの甘味度を持っていますので、砂糖よりも低価格で調達できます。

自然由来の植物であるため、ダイエット食品や糖尿病の食事制限にも広く使われているとのことです。

参照:ステビア – Wikipediaより

スクラロース:ショ糖の約600倍も甘い

スクラロースは、1976年にイギリスで発見された甘味料です。
日本でも、1999年に食品添加物として認可され使われ続けています。

ショ糖の約600倍も甘いのが特徴ですが、代謝・分解されることなく体外に排出されるのが特徴です。
※「代謝・分解されることなく=吸収されない」ということ

体のエネルギーとして使われないため、血糖値やインスリン値も反応しない成分として多くの製薬メーカーでも使われています。

参照:スクラロース – Wikipedia

人工甘味料の共通事項「砂糖(ショ糖)の数百倍も甘い」

上記4つの人工甘味料(一部植物もありますが)の共通した特徴は、ショ糖(砂糖)よりもかなり甘く感じる成分があるという点です。

また、吸収されることも少なく、対外排出されるためカロリーオフの効果が高いです。

そのため、砂糖よりも安価で作りやすいというメーカーに撮って都合がいい甘味料のようです。

それ以外にも「虫歯の低下」も期待されています。

人工甘味料は、虫歯の原因にもなりにくい?

また、「カロリーがゼロ」以外にも、「虫歯の原因にはなりにくい成分」などの理由で多くの食品にも使われている添加物といえます。(特にノンカロリーや無糖などの飲料)

  1. アスパルテーム・L-フェニルアラニン化合物
  2. アセスルファムK
  3. ステビア
  4. スクラロース

の4つ以外にも、キシリトールという甘味料があります。

キシリトールは、ガムに使われている人工甘味料で、噛むと甘みが出てきます。
ガムの商品名にもなっていますので、ご存知の方が多いはずです。

しかし、砂糖などの甘味料とは違い、虫歯ができにくいとしています。
※キシリトールには、「ミュータンス菌(虫歯菌)が増えるを抑える」、「う蝕(糖分の酸で歯が溶ける現象)が少ない」などの性質があるからです。

ただし、キシリトール以外の甘味料では、本当に虫歯ができにくいのかは証明されていないようですので、100%虫歯対策になるとは言えないようです。

まとめ:砂糖を減らすのはいいけれど、
人工甘味料が多く使われるのが気になる

ペプシコ社が2025年までに、「飲料に含むカロリーの量を約1/3に減らす」と発表したのは、私たち消費者にとってはいいことかもしれません。

今まで「ペットボトルが糖尿病になる」とさんざん言われてきたものの、どのメーカーも対策をほとんどしていなかったからです。

カロリーオフ、低カロリーという商品はあったものの種類は限定されていたため、「いつも飲むあの飲み物」から抜け出せていない人も多かったのではないでしょうか。

今後はメーカー自身が砂糖を減らすことで、私たちは何も気にせずとも、将来糖尿病になる可能性をある程度抑えることができるかもしれません。

人工甘味料が増えるリスクは?

しかし、その代償として「人工甘味料が増える」ということは覚悟しなければいけません。

大量の人工甘味料が、「人体にとっていいか悪いか」は全く分かっていません。
もしかすると数十年後の未来では、禁止されている成分かもしれません。

そうなると、糖分以外のリスクを抱えることになる可能性もあるのです。

一番いいのは、「砂糖」「人工甘味料」を加えていないミネラルウォーター

一番体に優しいのは、やっぱり「水」だけではないでしょうか。

現代人は、ジュースやパン、ジャンクフード、レトルト食品の食べ過ぎで糖分や人口調味料、塩分の摂りすぎです。
その結果、成人病にかかる方が急増したり、肥満(メタボリックシンドローム)と診断されている人が増えているのです。

この機会に、自然の食材から作る手料理を食べることを見直すべきかもしれません。

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