細菌

カルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE)とは、カルバペネム薬(抗生物質)に耐性を持った「腸内細菌」です。

「悪夢の耐性菌」と呼ばれるほど、凶悪らしいです。

参照:カルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE)| 日本BD http://www.bdj.co.jp/safety/articles/ignazzo/hkdqj200000u4umw.html

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カルバペネム耐性腸内細菌科細菌は「人の腸内菌ではない」

カルバペネム耐性腸内細菌科細菌は、腸内細菌科ではありますが「人の腸内にいる菌」ではありません。

赤痢菌、サルモネラ、ペスト菌などの腸内感染のように、体内に入り込むと増殖して「発熱などの症状」をもたらします。

 

抗生物質に耐性があるので治療しにくい

赤痢菌、サルモネラ、ペスト菌などの治療では、主に抗生物質を飲むように処方されます。
※軽度の場合は、薬が処方されないこともあります。

数日間投与しながら、対処療法で治療していくため治療期間は短くなっています。

しかし、カルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE)の場合、耐性を持っていますので抗生物質では治りません。
代表的な抗生物質である「ペニシリン」や「セフェム」にも耐性が確認されています。

 

一部「耐性がない薬」が有効も、日本では未認可

抗生物質に耐性がありますが、耐性がない薬も一部あります。

  • チゲサイクリン
  • コリスチン

これらを投与することで、治療を行うようです。

しかし、コリスチンは日本では未承認のため使えません。
チゲサイクリンも緊急でない限りでは、使われないようです。

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カルバペネム耐性腸内細菌科細菌は主に3種類

  • メタロ-β-ラクタマーゼ産生菌:日本でも数例確認されている
  • NDM-1 産生菌:インド・アジアで流行
  • KPC 産生菌:アメリカで流行

これらが関係ある大腸菌に感染すると、難治性感染として治療が長引くことが予想されます。

 

CREが引き起こす主な感染症

カルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE)は、「腸内細菌」ですが侵入経路はさまざまです。

体内に入り込むと、下記のような影響があります。

  • 尿路感染症:尿道口から細菌が侵入し、炎症を引き起こす
  • 呼吸器感染症:鼻から入り込み、気管支や肺に移動し肺炎などを引き起こす
  • 肝胆道系感染症:胆嚢炎、胆管炎に細菌が侵入し機能障害などを起こす
  • 菌血症感染症:肺や皮膚から血液内に細菌が侵入し、全身の細胞に支障をきたす
  • 敗血症感染症:臓器から入り込み、低血圧になるショック状態

しかも、抗生物質に耐性がありますので、治療は難しくなってしまいます。

 

耐性細菌の増殖は、抗生物質の使いすぎが原因

今回話題になっている「薬の耐性を持つ細菌」は、今後増えると予想されています。

その理由は、薬の乱用です。

細菌は、人の何倍ものスピードで日々細胞分裂を繰り返して進化を続けています。

人工的な強い薬は、効果があっても全ての菌を消滅させることはできません。
残りの菌は耐性を持っている可能性が強く、その菌が増殖することで耐性を強めていきます。

人間の医学が進化しても、細胞の進化も進みますので「いたちごっこ」といえます。

その対策として行えることは、むやみに強い薬を乱用しないということかもしれません。