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WHO(世界保健機関)は、2020年東京オリンピックまでに「はしか(麻疹)」を根絶したい考えがあるようです。
しかし、実現することは難しいかもしれません。

なぜなら、日本以外のアジアの国々でははしかウイルスの根絶に至っていないからです。

2016年、日本国内で「大人のはしか(麻疹)」が集団感染し、ニュースになりました。
そもそも日本では、2006年度以降予防接種法に基づき子供に麻疹のワクチンを接種するようになっています。

しかし、それ以前の年代の方は、麻疹ワクチンを接種をしていない(または1回しかしていない)ため感染してしまうケースがあるのです。

2017年以降も海外旅行に行ったときだけでなく、日本にいても麻疹ウイルスが海外から日本に渡って来た場合に感染者が出ると予想されます。

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【2016年のはしか】感染経路はアジア諸国

2016年に「はしか(麻疹)」が流行った要因として、中国やモンゴル、東南アジアの旅行者(あるいは訪日者)がウイルスを持ち込んだと考えられています。

麻疹患者の渡航歴一覧2016年
出典:麻疹ウイルス遺伝子型別内訳(一覧表)2016年 国立感染症研究所より

 

麻疹ウイルスの感染時期は春から初夏

麻疹ウイルスが活発になる時期は、春から初夏にかけてです。

もし、来春あたりにアジア圏内で旅行する予定のある方は、早めにはしかの予防接種を受けたかどうか確かめた方がいいかもしれません。

また、10月になった現時点でも新たな感染者は報告されていますので、季節に関係なく感染する可能性もあるので注意しましょう。

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感染力がインフルエンザより強く、マスクでは防げない

国立感染症研究所では「麻疹ウイルスの免疫がない人がウイルスに接触すると、必ず感染する」と発表しています。

そのため、ワクチン接種が強く推奨されているのです。

また、はしかウイルスの感染力は非常に強く、集団に感染者が1人いると15人が感染するとも報告されています。
インフルエンザは2人程度ですので感染力は極めて高いです。

 

なぜ麻疹ウイルスは「マスクでは防げない」のか

はしかの感染経路は様々あり、マスクだけでは完全に防げないためです。

  • 接触感染(便器や洗面台など、ウイルスに直接触って体内に侵入)
    ウイルスが付いた手で目や鼻の粘膜を触ることで感染
  • 飛沫感染(つばや唾液、体液などでウイルスがまき散らされる)
    食事を食べた時に麻疹ウイルスが付いている可能性がある
  • 空気感染(飛沫核)
    マスクで予防もできるが、マスクを触った手を洗わないと感染する可能性がある

空気感染だけであれば、マスクで防ぐことができるかもしれません。

しかし、飛沫感染や接触感染もあります。

流行国ではどこにウイルス感染者がいるのかわかりませんので、さまざまな経路から感染する可能性が高いのです。

 

はしかの有効ワクチン接種回数は2回、または自然に発症でもOK

はしかのワクチン接種は2回受けると効果が高くなります。

また、ワクチンを受けていなくても一度かかると一生涯免疫が作られますのでワクチンを接種する必要がありません。(終生免疫という)

ただし日本では根絶されたウイルスですので、自然感染で免疫が作られることはほぼないといってもいいでしょう。

そのため、海外旅行で感染してしまうというケースが多いのです。

 

正しいワクチン接種歴・罹患歴(らかんれき)がわからないなら

はしかワクチンは保険がききません。

そのため、はしかワクチンの接種料金は8千円~1万円と高くなります。

ワクチン接種を考えていらっしゃる方はあらかじめ母子手帳などで接種歴を調べるといいかでしょう。

 

修飾麻疹は、ワクチンを1回だけ受けた世代20代~30代の年齢に多い

はしかのワクチン接種は、予防接種法に基づく定期予防接種に2006年度から指定されています。

そのため2006年度以降、1歳児(1回目)と5歳~7歳未満(2回目)と2回ワクチン接種を受けるようになっています。

しかし2006年以前の人は、1回だけしか受けていない可能性があります。

そのような方は、免疫力が弱まっている可能性もあります。

修飾麻疹という感染もありますので、もう一度ワクチンを接種した方がいいかもしれません。

 

ワクチン接種をしていても、免疫が弱まって感染する「修飾麻疹」がある

修飾麻疹とは、ワクチンを接種したものの徐々に免疫が弱まってしまい感染してしまった麻疹の症状のことです。

麻疹は、予防接種を2回受けると長期間免疫を持つことができますが、免疫が弱まることもあるためこのようなことが起こります。

修飾麻疹の症状は軽く、自覚症状がない場合もあります。
また、症状が出てもお医者さんによっては麻疹とは診断できないほど弱い傾向にあるようです。

この場合、知らず知らずのうちに感染源になってしまい、周囲の免疫がない人に感染させてしまうケースもあるようです。

このようなことがないように、早めに確認した方がいいかもしれません。

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