雪で南下する鴨

台湾でも60年ぶりに雪観測され、現地のテレビでは騒いでいたようです。

そもそも台湾は亜熱帯気候です。(地図で見ても沖縄より南だという事がわかります)
例年通りであれば最低でも14℃~最高で23℃(平均温度18℃前後)と暖かい気候の国といえます。

つまり、雪が降った2016年の寒さは異例ということです。

台湾と2016年の冬型季節配置の図

また、日本や台湾だけでなく、アメリカやEU・ヨーロッパ諸国内など、「世界各地で同時多発的に」寒波が押し寄せています。
今年(2016年1月)は、「北極圏から強い寒気が流れ込んでいる」という事です。

その原因は何があるのでしょうか?
数ある中の候補から、さぐってみましょう。

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寒い理由”エルニーニョ”と”空気汚染”2つの仮説

そもそも天気という現象は、地球規模で起こるため科学的に解明できているわけではありません。
その為、多くの場合仮説としかいえません。

気象関連の専門家の見解では、今回の歴史的な気温低下は、エルニーニョ説が有効視されています。

しかし、空気汚染説を唱える見解もあるのです。
今回はこの2つの観点から見ていきます。

 

仮説1:観測史上最強のエルニーニョ現象が影響か?

有力な候補として、2015年に発生した「観測史上最強のエルニーニョ現象」からの影響が考えられます。

なぜなら、エルニーニョ現象が発生した翌年は異常気象が発生しやすい傾向にあるためです。

 

エルニーニョ現象の傾向とは”まったく逆”とはいえない

しかしエルニーニョ現象は、海水温度が上昇して「冷夏・暖冬になりやすい」為、これが関係するのは「おかしいと思える」かもしれません。
※「猛暑・厳冬」はラニーニャ現象に多い為

エルニーニョ現象というのは、
「冷夏・暖冬になりやすい」なら、寒くならないでは?ということです。

ですが、そうもいえません。

冷たい空気は、暖かい空気よりも重いため「暖かい空気を上に押し上げる」からです。
たとえ、地表の温度が暖かい状態ても、冷たい風が流れ込めば「地表の温度が下がる」のは自然の流れといえます。

また、温かい空気が”冷たい風”を下に押し下げてしまうため、地表付近で「気温の低下が大きくなる」のです。

冷たい風が弱まれば、地表の温度も高くなるといえます。
以前から2016年2月は例年よりも気温が高くなると予想されているのもその影響と思われます。

また、「今回の寒波」は異常気象として考えると、納得行くかもしれません。

今回の寒波を、「ゲリラ豪雨のようなもの」といわれれば、異常気象の中に入るため「エルニーニョ現象が発生した翌年は異常気象が発生しやすい」はあっている事になります。

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仮説2:空気汚染で寒くなる?

これは、ニュースでやっていたのですが、
「PM2.5などの微粒子が、”雲の元”になりやすく大雨や大雪などの異常気象をもたらす可能性がある」

このような学説が、全米科学アカデミー紀要(米国科学アカデミー発行の機関誌)で発表されたとの事です。

 

PM2.5が「雲の核」になる?

雲というのは、高い所で水蒸気が冷やされてできる仕組みですが、その核となるのが空気中の塵である微粒子です。

雲粒(核)と呼ばれ、空気中のちり、ほこり、火山灰、塩の結晶などが多くなると空に雲ができ、雨が降ります。
参照:気象の教室:雲について 石垣島地方気象台ホームページより

つまり、空気中のPM2.5がある一定量に達すると、雨(雪)が降りやすくなるということです。

この説は、一昔前に流行った”酸性雨の原理”に似ている事が分かります。
※酸性雨の原理:空気中にある二酸化炭素の濃度が高くなると、酸性度が高い雨になりやすい。

いい換えると、
「PM2.5が多い場所では雲(雨)の核が出来やすいため、雨や雪が降りやすい。(あるいは量が多くなる)」といえます。

 

降雨(雪)量が多い=気温は低下する “法則”に当てはまる

雨や雪が多いという事は、低気圧が多くなるという事です。
それに加えて、水蒸気が地表の温度を吸収してしまう増すので、気温は下がる傾向にあります。

その為、「PM2.5の増加が今回のような寒波を引き起こしたのではないか?」という説に結びついています。

もしこの説が有力であれば、今後地球の気温は下がる可能性もあるということです。

 

二酸化炭素を減らさない限り「温暖化は止められない」

しかし、空気中に二酸化炭素が多く存在する限り、急激に地球の温度(気温)が下がるとはいえないのです。

二酸化炭素は「温暖効果ガス」と呼ばれ、熱を吸収して逃がさないガスです。
地球表面を覆う量が多い(濃度が高い)ほど、保温機能が高まってしまうのです。

たとえ雨で地表の熱が空に上がっても、二酸化炭素が外(宇宙)に逃がさないようにしてしまいます。

つまり、二酸化炭素を減らさない限り、地球の温暖化は解消できないといえるのです。