老夫婦

高額商品の購入・取り付け工事・ローンなど、あらゆる商取引の契約には「本人の意思による合意」が必要だ。
ある程度の自己判断によって行われていると解釈されると、後から取り消しをしたいと思っても法律上できないこともある。(解約とは違う)

昨今の悪徳商法と呼ばれる手口は、判断力の低下した高齢者や障がい者をターゲットにしてターゲットにし、1人暮らし、あるいは昼間1人でいる時間を狙い、身内が知らないうちに契約を結んでしまうのだ。

成年後見人制度(せいねんこうけんにんせいど)は、そういう被害をなくすための法律です。

しかし、成年後見人制度はあまり知られていないため、利用する人は3%以下と少なくマイナーな法律といえます。
今回可決された促進法によって、今後利用を促していくようです。

また、促進法には後見人の権限を拡張することも付け加えられています。
今後、介護や医療などの行為も後見人が管理することも可能になるとのことです。

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そもそも成年後見人制度って何?

判断力が低下している人の財産を守るための制度です。

  • 預金・不動産の管理
  • 財産にかかわる契約(販売・サービス・工事などの有料契約)
  • 遺産問題への関与

これらの契約に関して、成年後見人が同意をしない限り、
「本人だけが結んだ契約を取り消す」ことができる権限を与えられます。

 

日用品・食料品など「日常に関する行為」は対象外

いくら成年後見人とはいえ、何もかもが「同意を得なければいけない」ということではありません。

日常的に購入する食品や生活雑貨品は取り消しができません。
また、「選挙権がなくなる」ということもありません。

「契約しなくても生活に支障がない」という点でお考えください。

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成年後見人制度って「誰が利用」できる?

法務省によると、成年後見人制度は「本人の判断能力」で利用できるかどうかが判断されるとあります。

認知症,知的障害,精神障害などの理由で判断能力の不十分な方

法務省:成年後見制度~成年後見登記制度~より
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji17.html

被成年後見人(利用者)になるには、一度調査員と医療関係者による調査(精神鑑定)を行います。

後見人が付く「本人」が知らないうちに、勝手になることもありません。

ただし、本人以外の家族に知られずに設置はできてしまいます。
いつの間にか「赤の他人」が後見人になっていたという可能性もあるようです。

 

利用した(被後見人になった)場合、仕事に制限がある

後見人を付けるということは、「代理人(後見人)の同意権」が必要ということであり、本人の決定だけでは判断できないという位置づけになります。

そのため、国家資格を有する仕事(公務員・医師・弁護士などの士業)や会社の役員になることができません。

 

成年後見人は「家庭裁判所が選任した人」

後見人は家庭裁判所を通して設定されます。

家庭裁判所に申し立て→調査官による事実調査→精神鑑定→選任→通知→後見開始

本人の親族から選びますが第三者でもなることができます。

その場合、ある程度の知識を有する人(団体)出なければいけません。

  • 法律・福祉の専門家
  • 福祉関係の公益法人

これらから一人か、複数の人を選任することもできます。
また、後見人を監督する後見人監督人も設置可能です。

制度を悪用されるのが不安な方は、後見人(法人)とは関係のない団体または個人から監督人を選出しましょう。

 

成年後見人になれない人

一般的には、ほとんどの人が成年後見人に立候補できますが、一定の制限もあります。

  • 20歳以下の未成年者
  • 過去に成年後見人を解任された経験のある人
  • 破産手続きをし、免責されていない人
  • 被後見人と裁判で争った人とその親族関係者
  • 住民票・国籍がない人

このような人は、成年後見人に申し出ることはできません。

 

第三者の「成年後見人」「監督人」には報酬が発生する

本人の親族が成年後見人になる場合、大抵はボランティアで行うと思います。

しかし、第三者が選任された場合は本人(被後見人)の財産から報酬をもらうことができます。

他人に任せる時は、「ボランティア(無報酬)ではない」ということを念頭に入れておきましょう。

 

成年後見人の報酬は、価格が決まっていない

ただし、裁判所が適正な価格かを審査します。

基本報酬の目安としては月額2万円。
管理財産の総額により変動。

  • 管理財産額が1000万円~5000万円以下→月額3万円~4万円
  • 5000万円超え→月額5万円~6万

東京家庭裁判所|後見Q&A
http://www.courts.go.jp/tokyo-f/saiban/koken/koken_qa/

これ以外にも、必要経費と認められると管理している財産から報酬として差し引くことも可能のようです。

 

成年後見人を解任するのは難しい

家庭裁判所が「この人を成年後見人にする」と一度認めると、解任するのは難しいようです。

ただし、本人(被後見人)へ直接被害があると裁判所に認められれば可能です。

後見人が財産を本人の同意を得ずに、勝手に処分したりする行為が解任できる行為に当たります。

その場合も、家庭裁判所が事実確認を調査して、審査して認めない解任されることはありません。

そのため、よく話し合うことが何よりも大切です。