子供の熱を測るお母さん

病気に対しても『母は強し』なのか?

とある報道によると、”男性は免疫力が弱く、細菌やウイルスに弱い傾向がある”とのことです。
その理由として、古来からの遺伝が関係するとのことです。

逆に”女性は、体内で免疫力を作る働きが男性よりも強いため、ワクチン効果が期待できる”そうです。

これが本当であれば、男性は女性よりも感染症に対して警戒しなくてはいけないということです。
(たとえ男女差がなくても、気を付ける必要がありますが・・・。)

また、女性の寿命が男性に比べると長寿になっている理由のひとつになるのかもしれません。

さて、この男女差は本当にあるのでしょうか?
さまざまな感染症を例に過去の統計結果を見ていきましょう。

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インフルエンザの感染者数は男性と女性ほぼ同じ

国立感染症研究所発表インフルエンザ男女比
出典:今冬のインフルエンザについて (2014/15 シーズン)  国立感染症研究所よりhttp://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou01/dl/fludoco1415.pdf

国立感染症研究所の発表によると、インフルエンザの男女比は3シーズン(3年間という意味)で男女比は1:1という統計が出ています。

しかし、これはインフルエンザに感染したすべての人が対象になっているわけではありません。
感染の疑いがある人が病院で診察を受けた人数です。

インフルエンザは比較的重い症状になるため、病院を受診する人は多いといえます。
しかし、男性は我慢して受診しない恐れもあります。(男性は会社を休めないなどで病院に行かない?)

そうであれば、男女比1:1になっているのは怪しいかもしれません。
ということで、他の統計も見てみましょう。

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10個の感染症から見た男女構成比

福岡県保健環境研究所発表感染症別男女比
出典:疾病別・性別患者報告数および男女比 福岡県保健環境研究所 http://www.fihes.pref.fukuoka.jp/~idsc_fukuoka/fpma/data09.pdf

次に注目したのが、他の感染症の男女比です。

福岡県保健研究所(http://www.fihes.pref.fukuoka.jp/)が発表している数値ですので地域限定ではありますが、おおむね該当するかと思われます。
(詳細な人数をまとめられているデータがあまりありませんでしたので、参考にいたしました)

※表の見方:男性の感染が多い場合1を上回り(1.01以上)、女性が多い場合1を下回る(0.99以下)

感染症 男女比(男÷女)
インフルエンザ ほぼ同じ(0.98) インフルエンザの症状(関連記事)
RSウイルス感染症 男性が多い(1.21)

乳幼児期において非常に重要な病原体 生後数週から数カ月の期間にもっとも重症な症状を引き起こす。

咽頭結膜熱 男性が多い(1.21)

発熱、咽頭炎、眼症状を主とする小児の急性ウイルス性感染症 (プール熱ともいう)

A群溶血性レンサ球菌咽頭炎 男性が多い(1.16)

 グラム陽性が原因。
急性咽頭炎の他、膿痂疹、蜂巣織炎、あるいは特殊な病型として猩紅熱がある。

 感染性胃腸炎  男性が多い(1.11)

原因となる病原体、あるいは感染様式、感染菌量、宿主の状態により異なるが、発熱、下痢、悪心、嘔吐、腹痛などが見られる

 水痘 男性が多い(1.09)

水痘帯状疱疹ウイルスによって起こる急性の伝染性疾患
初発症は発疹が多い

 手足口病 男性が多い(1.23)  手足口病の症状(関連記事)
 伝染性紅斑 女性が多い(0.96)

 頬に出現する蝶翼状 の紅斑を特徴とし、小児を中心にしてみられる流行性発疹性疾患「リンゴ(ほっぺ)病」と呼ばれる

 突発性発しん 男性が多い(1.07)

 乳児期に発症するのを特徴とする熱性発疹性疾患である。38度以上の発熱が3日間ほど続いた後、鮮紅色の斑丘疹が体幹を中心に数日間出現。

 ヘルパンギーナ 男性が多い(1.09)

 発熱と口腔粘膜にあらわれる水疱性発疹を特徴とし、夏期に流行する小児の急性ウイルス性咽頭炎。いわゆる夏かぜの代表的疾患

流行性耳下腺炎 男性が多い(1.12)

唾液腺の腫脹・圧痛、嚥下痛、発熱を主症状として発症し、通常1 ~2週間で症状は治まる

※各病気の症状は、感染症の話(感染症情報センター)より引用しています。

 

まとめ:感染者数は全体的に「男性が多い」

上記にまとめた感染症以外も含め、男性の感染者が多いという結果になりました。
もちろん、男性特有の感染症は除外しています。

日本国内の数を見ても、女性の方が病気になりにくいということは明らかだと思われます。

 

女性は免疫力が高い理由:子供を産むから?

なぜ女性の方が免疫力が高いのかは、お子さんを授かる側だからではないでしょうか?

学説を見たわけではありませんので確かなことは言えませんが、その可能性は高いと思われます。
ここまでくると医学的(神秘的)な話になりますので深く言えませんし断定できないのでご了承ください。

 

「免疫力が高いから」と言って予防を怠ってはいけない

また、女性は男性よりも免疫力が高いからといっても、感染症にかからないというわけでもありません。
男性に比べると感染しにくいのですが、病気になりにくいというわけではありません。

また、妊娠中は免疫力が弱くなり、病気になりやすい状態になることがあります。
近頃中南米で流行っているジカ熱のように、胎児の健康状態に影響する感染症も存在しますので妊婦さんは特に注意が必要です。

免疫力が高いことと予防を怠ることは別の問題です。
その点を勘違いしないようにしましょう。